新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、国会議員が政治資金パーティーを開きにくい状況が続いている。近く衆院解散・総選挙があるとの臆測も飛び交う中、選挙基盤が脆弱な若手議員らは資金不足に不安を隠せない。
■持ち出し1000万円超…土地売ってしのぐ
「金持ちか、集金能力の高いやつしか政治家にはなれないってことだね」
活動資金が枯渇し、親から受け継いだ土地を売って当座をしのいでいるという自民党の衆院当選2回の議員はこう漏らす。
秋までに政治資金パーティーを開けなければ、自らの政治活動にかかる今年の持ち出し額は1千万円超になるという。この議員は「秘書らの人件費がかかり、周囲には『年越しができるか心配』と漏らす同僚もいる」と明かす。
■歳費削減…家賃安い青山宿舎へ
与野党は、感染拡大で国民生活に影響が出ていることを踏まえ、国会議員の歳費を5月から1年間、2割削減することを申し合わせた。衆院議員には、出費を節約しようと、月の家賃が約13万8千円(3LDK)の衆院赤坂宿舎から約2万1600円(2DK)の衆院青山宿舎に転居した議員もいるという。
新型コロナ禍で3月以降、政治資金パーティーはほとんど開かれない状況だ。緊急事態宣言の解除を受け、開催を予定する議員も出てきたが、多くは「東京で感染が再拡大し、収束が見通せない中ではやりにくい」と二の足を踏む。
■企業も経営難「券買ってと言えぬ」
夏のパーティーを延期した衆院当選3回の若手は「コロナで経営難の企業にパーティー券を買ってくれとはいえない」とあきらめ顔だ。資金不足解消のためやむなく秋にパーティーを開催する若手は「例年は700人ぐらい呼ぶが、300人程度に絞る」と語る。
一方、自民党の各派閥の政治資金パーティーは16日の麻生派(志公会)を皮切りに10月末までに全7派閥が実施を予定している。
所属議員に重くのしかかるのは1枚2万円のパーティー券の販売ノルマだ。当選1回の衆参議員は50枚、2回以上で閣僚未経験の議員は100枚といった具合に義務を課す派閥が多い。当選3回の若手は「(新型コロナの影響で)今回は達成できないかもしれない」と頭を抱えている。(長嶋雅子)