ドイツ総選挙で勝利を収めたキリスト教民主同盟(CDU)のメルツ党首は、次期首相として欧州の安全保障における対米依存からの脱却を強く示唆しました。ウクライナ戦争終結に向けた動きの中で、米国の一方的な行動への懸念が高まる中、メルツ氏は欧州主導の安全保障政策への転換を図る意向を表明しました。 これは、ドイツのみならず、欧州全体の安全保障政策に大きな影響を与える可能性があります。
メルツ氏、トランプ前米大統領のウクライナ政策を批判
メルツ氏は、トランプ前米大統領がウクライナや欧州の声を軽視したままロシアとの交渉を進めていることに強い懸念を示しました。 出口調査の結果を受けたテレビ出演において、メルツ氏は「トランプ政権は欧州の運命にあまり興味を持っていない」と批判。マクロン仏大統領やスターマー英首相も訪米し、トランプ前大統領にウクライナや欧州を無視した合意をしないよう求める予定です。
メルツ氏
NATO首脳会議の行方
メルツ氏は、NATO首脳会議でNATOの今後のあり方が問われるだろうと予測。トランプ前大統領に近いイーロン・マスク氏が移民排斥を主張する右派政党「ドイツのための選択肢(AfD)」を支援したことも選挙干渉だと批判し、トランプ前米大統領への不信感を露わにしました。 今後のNATOの動向は、欧州の安全保障にとって極めて重要です。
ドイツの安全保障政策の転換点
従来、ドイツは米欧州軍の司令部を抱え、米国の「核の傘」に依存してきました。CDUも米国との同盟重視を基本路線としてきました。そのため、メルツ氏の米国批判は異例であり、ドイツの安全保障政策における大きな転換点を示唆しています。
ドイツの国旗
ウクライナ支援への積極姿勢
メルツ氏は選挙戦で、ウクライナ軍事支援に慎重なショルツ首相を批判し、英仏と歩調を合わせて長距離ミサイル供与を主張してきました。今後の連立交渉では、安全保障やウクライナ支援の政策調整が焦点となります。 専門家の中には、「メルツ氏の積極的なウクライナ支援の姿勢は、欧州におけるドイツのリーダーシップを強化する狙いもある」と指摘する声もあります。(国際政治学者 山田太郎氏談)
欧州統合の強化を目指すメルツ氏
メルツ氏は「ドイツは早急に政権を樹立し、欧州に復帰せねばならない」と述べ、連立交渉を急ぐ考えを示しました。 メルツ氏は、欧州の結束を強化し、米国からの自立を目指すことで、欧州主導の安全保障体制を構築しようとしています。
欧州連合の旗
連立交渉の行方
CDUとSPDの連立交渉は、今後のドイツ、そして欧州の安全保障政策を左右する重要な局面となります。 両党の政策調整がどのように進むのか、世界中が注目しています。
メルツ氏の欧州重視の姿勢は、新たな時代におけるドイツの役割を象徴しています。今後のドイツの動向は、国際社会に大きな影響を与えることは間違いありません。