水産ベンチャーのウミトロン(東京都港区)は28日、衛星リモートセンシング(遠隔計測)技術を活用した海水温などの海洋環境データを養殖事業者向けに提供するサービスを同日に始めたと発表した。広範囲の海洋環境の変化をとらえることで、無駄のない餌やりに役立ててもらう。
新サービス「ウミトロンパルス」は、地球観測衛星による観測データをもとに、海水温や塩分、海水に含まれる溶存酸素、波高などの海洋環境データを提供。さらに48時間先の海洋環境の変化も予測する。現在はパソコン向けのサービスだが、スマートフォン(高機能携帯電話)向けアプリでの提供も検討している。
養殖事業者にとって、餌代は年間経費の7割を占める。既存の通信インフラによる観測では限界があり、長年の経験と勘から餌の量を決めざるを得ず、結果的に餌をやりすぎることが多かった。衛星による海洋観測データの活用で、海洋環境にあわせたかたちでの餌やりが可能になり、餌の無駄づかいが減らせる。
ウミトロンは平成28年4月に設立。東京の他、シンガポールにも拠点を置く。