【アメリカを読む】感染急増のフロリダ州 “ミニ・トランプ”知事の対策行き詰まり





4月28日、米ホワイトハウスで、トランプ大統領と面会する南部フロリダ州のデサンティス知事。同州では新型コロナウイルスの感染拡大が止まらない(AP)

 新型コロナウイルスの感染拡大が止まらない米国で「国内の新たな震源地」(米メディア)となっているのが南部フロリダ州だ。トランプ大統領(74)と近いとされる共和党のデサンティス氏(41)が知事を務める同州では連日、1万人前後の感染者が確認されているが、経済再開の方針は崩していない。11月の大統領選でも重要州と位置付けられるフロリダの新型コロナ対策の成否は、有権者の動向にも影響を与えかねず注目を集めている。(ニューヨーク支局 上塚真由)

■全米最多を記録

 フロリダ州は当初、感染が広がらず、5月初旬に営業規制を緩和した。6月ごろから感染者が増え始め、7月12日には1日当たりの感染者数で全米最多となる1万5299人を記録。デサンティス氏は「われわれはよい方向に向かっている」(21日)と強調するが、新規感染者数は1万人前後を推移する。22日時点で累計感染者数は約38万人となり、全米では西部カリフォルニア州、東部ニューヨーク州に次いで3位だ。

 米メディアによると、全米50州のうち40州近くが拡大傾向にあるが、フロリダ州が特異なのは経済再開の流れを止めていない点だ。

 デサンティス氏は6月末、バーでの酒類提供を禁止したが、それ以外に目立った方針転換を行っていない。感染が拡大する中、7月11日には、フロリダ州オーランドにある「ウォルト・ディズニー・ワールド・リゾート」のテーマパークを約4カ月ぶりに再開するなど、景気回復に向けた積極姿勢が際立っている。

 また、米プロバスケットボール協会(NBA)は今月末から、同州のディズニー施設内で今シーズンの試合を集中開催する。ディズニー傘下でNBAなどの放映権を持つスポーツ専門局「ESPN」の経営を救うため、ディズニーのロバート・アイガー最高経営責任者(CEO)が直接交渉に乗り出したとされる。

 デサンティス氏は4月にスポーツを「不可欠な事業」と認定。5月には「すべてのプロスポーツを歓迎したい」と述べ、無観客であれば試合開催を受け入れるとし、コロナ禍で窮地に追い込まれたスポーツ界の救世主ともなった。

■トランプ氏に追随

 同州選出の下院議員だったデサンティス氏は2018年11月の中間選挙で実施された州知事選で当選を果たした。共和党の予備選では当初、勝利の見込みは低いとみられたが、移民政策でメキシコ国境の壁建設を訴えるなどトランプ氏を全面的に支持したことで自身の支持率も急上昇し、有力候補を破って共和党の指名を獲得した。デサンティス氏が「ミニ・トランプ」(米メディア)と称されるゆえんだ。

 コロナ禍でもトランプ氏に追随する姿勢を徹底。経済活動の再開を重視するほか、州全体のマスク着用義務化には否定的な考えを示す。トランプ氏が強く求める学校再開については、ひときわ前のめりだ。

続きを読む



Source link