茂木敏充外相が8月上旬に予定する英国訪問に続き、シンガポールやメコン3カ国、パプアニューギニアなどを同月内に歴訪する方向で調整に入った。新型コロナウイルスの影響で休止している外国訪問を本格的に再開させる。複数の政府関係者が31日、明らかにした。
茂木氏は外遊再開の第1弾として英国を訪問し、トラス国際貿易相と日英間の新たな貿易協定の締結に向けた詰めの協議を行う。自動車関税や農産品など焦点となる分野を閣僚間で決着させ、大筋合意を実現したい考えだ。ラーブ外相とも会談し、新型コロナ対策や香港情勢などについて協議する。
8月中旬にはシンガポールなどを訪問。その後もメコン3カ国(ミャンマー、ラオス、カンボジア)、さらにはパプアニューギニアを相次いで訪れ、各国の外相らと会談する方向だ。
茂木氏の外国訪問は2月以来。この間、各国要人と電話会談やテレビ会議を重ねてきたが、「機微に触れる話は難しい」(茂木氏)として対面外交の再開を目指してきた。
外遊に当たっては、新型コロナ感染対策として日本や相手国の出入国時にPCR検査を実施。滞在場所を限定するほか、随行員も最小限に絞り込み、公共交通機関の使用も避ける。一方、日本が新型コロナの水際対策として講じている帰国後2週間の自主隔離は行わない。公務に支障を来すためで、国際社会ではこうした形での要人往来が共通ルールとなりつつある。
8月末で調整されている米国での先進7カ国首脳会議(G7サミット)が開かれれば、安倍晋三首相も出席する意向だ。茂木氏が「国際基準」の形で外遊を再開することで、首相が訪米しやすい環境を整える狙いもある。