【AFP=時事】仏パリ郊外で16日に首を切断され殺害された歴史教師のサミュエル・パティ(Samuel Paty)さん(47)が、授業中にイスラム教預言者ムハンマド(Prophet Mohammed)の風刺画を生徒に見せたことをめぐってオンライン上で脅迫を受けていたことが分かった。同国の対テロ検察当局が17日、明らかにした。
【写真】「私は教師」と書かれたプラカードを持つ人々
対テロ検察官のジャンフランソワ・リカール(Jean-Francois Ricard)氏がテレビで放送された記者会見で明かしたところによると、ある女子生徒の父親は、パティさんが表現の自由に関する授業を行った後、パティさんの免職を求めオンライン上で「結集」を呼び掛けていたという。
この父親と、有名なイスラム過激派を含む計10人が、この事件をめぐり拘束された。
リカール氏によると、パティさんが10月初め、論争の的となっている裸のイスラム教預言者ムハンマドを描いた風刺画を授業で見せた後、学校側は脅迫を受けていた。女子生徒の父親は、パティさんが「ポルノ画像」を見せびらかしたと批判した。
この女子生徒と父親はパティさんを刑事告訴し、それに対しパティさんは名誉毀損(きそん)として訴えたという。
不満を抱いたこの父親は、首切断事件の数日前、パティさんの名前と学校の住所をソーシャルメディア上に投稿。そして先週に入り、イスラム教とその預言者が学校で「侮辱された」と語るビデオメッセージを投稿した。
リカール氏は、実行犯が学校や生徒、あるいは保護者らと何らかの関係があったか、もしくはオンライン上での運動を受けて独自に行動したかについて明らかにしていない。
■ロシア大使館、容疑者氏名を公表
パリの在仏ロシア大使館は、実行犯はアブドラフ・オンゾロフ(Abdullakh Anzorov)容疑者(18)だと明らかにした。同容疑者の家族は、容疑者が6歳の時に渡仏し、亡命申請をしていたという。
大使館によると、オンゾロフ容疑者は今年フランスでの滞在許可証を受け取り、ロシアとの関係はなかったという。【翻訳編集】 AFPBB News