東京・練馬区議会の辻誠心議員(自民党)が10月20日、13歳の女子中学生に現金を渡してわいせつな行為をした男が逮捕された事件を受けて、ツイッターで投稿した発言が批判を集めている(現在は削除済み)。
問題となった発言は、「男性だけが悪いんですかね」を問い、「女性側にも何かあるんですよね !?」と中学生にも非があるように書かれていた。これに対し、「男性だけが悪い」「未成年相手の犯罪」と批判が殺到した。
辻議員は10月22日、ツイートを削除し、一旦は「言葉不足すぎて誤解を多く招いた」とツイッターで謝罪。「女性も罪を背負えという趣旨のツイートでは一切なかった」と弁明したが、さらに批判が集まった。この謝罪のツイートも即日、削除されている。(弁護士ドットコムニュース編集部・猪谷千香)
●未成年被害者に対して「何かあるんですかね!?」
ツイートのもとになった事件は、SNSで知り合った13歳の女子中学生に現金5万円を渡してホテルでわいせつな行為をした男性が児童買春・ポルノ禁止法違反(買春)の容疑で逮捕されたというもの。
辻議員がRTした日本テレビの記事によると、男は「お金に困っている女子中学生を助けるつもりでやりました」と話していたという。これを受けて、辻議員は次のようにツイートした。
#現金5万円
トレンド入り!
給付金決まったのか!!
と思ったら、、、
Σ( Д )ﻌﻌﻌﻌ⊙ ⊙
ていうか
「お金に困っている女子中学生を助けるつもりでやった」とのこと。
これって男だけ悪いんですかね!?
女性側には何かあるんですかね!?
あるんですよね!?!?
これに対して、ツイッターでは「男だけが悪いんですよ。児童買春ですから」「この件に関して女子中学生は被害者でしかない。そんなこともわからないの?」といった声が寄せられた。また、練馬区民という人からは「未成年相手に大人が起こした犯罪へこんな発言をする人間が区議会議員では安心して子どもが産めない」というツイートもあった。
●「謝罪」ツイートするも、すぐ削除
批判を受け、辻議員はツイートを削除。新たな投稿で、「言葉不足過ぎて誤解を多く招いたので削除しました。その点については謝罪申し上げます」と謝罪したうえで、釈明のツイートを投稿した。
辻議員は、「この女性がこの件に遭遇するに至った経緯、環境、社会構造、(性)教育の在り方などにも、様々な問題があったと思います。男性側が罪を受ける(原文ママ)のは当然ですが、それだけで済ませてよかったのだろうか!? というある種の提言です」と自説を展開した。
これに対しても、「提言とは思えない」「女子中学生にも問題があるような主張を繰り返してる」とさらに批判が集まった。
謝罪ツイートはすぐに削除された。弁護士ドットコムニュースは10月22日午前、ツイートの意図について、公式ホームページから問い合わせたほか、ツイッターの公式アカウントにもDMで取材を申し込んだが、辻氏からの回答は届いてない(10月23日10時現在)。
●少女の自己責任論「問題の本質見誤る」
辻議員のツイートのように、児童買春で被害にあった子どもにも非があるかのように考える人は少なくない。一体、何が問題なのだろうか。女性や子どもの人権問題に詳しい佐藤倫子弁護士は次のように指摘している。
「被害にあう少女たちには、虐待や貧困など厳しい環境にいながら信頼できる支援に出会っていないケースが多くあります。買春はそのような少女の弱みにつけ込んで性的に搾取する行為にほかなりません。
『助けた』『少女も悪い』という、あたかも彼女たちの自己責任であるかのような発想は、事の本質を大きく見誤り、少女たちをさらに追い詰めます。Colaboや若草プロジェクトなど少女に寄り添う活動から学ぶなど、この機会に認識を改めていただきたいです」
一方で、4月に自民党の馳浩元文部科学相が、Colaboを視察した際、ハラスメント行為があったなどとして抗議され、謝罪したケースがあったことなどから、佐藤弁護士は「ただ、『視察』といって不躾に押しかけたりはしないでくださいね」と注意も呼びかけた。