【ワシントン時事】米大衆紙が報じた大統領選の民主党候補バイデン前副大統領と息子ハンター氏をめぐる疑惑で、大々的に報道する保守系FOXニュースと、ほとんど無視するリベラル系メディアの対応が割れている。
【写真】米大統領選で民主党のバイデン候補を支持するアリゾナ共和党員のプラカード
トランプ大統領は来月3日の投票日に向けた22日夜(日本時間23日午前)のバイデン氏との最後の討論会でこの問題を攻め立てようと前のめりになっている。
2014年ごろウクライナ企業から月5万ドル(約520万円)の報酬を得ていたハンター氏と当時の副大統領バイデン氏をめぐっては、この企業に対する汚職捜査をやめるようウクライナに圧力をかけた疑いが指摘されている。14日新たに報じられたのは、ハンター氏の仲介でバイデン氏が同企業幹部と面会していたことを示す「電子メール」。事実なら「息子のビジネスとは一切関わりがない」というバイデン氏の説明と矛盾する。
視聴者数で全米最多のFOXはこの話題を連日報道。中国のエネルギー企業からも、ハンター氏とバイデン氏に報酬が支払われる約束があったことを示唆するメールが見つかった、などと「独自記事」を連発している。
一方、メディア調査団体によると、CNNとABCは大衆紙の最初の報道から2日間、全く取り上げなかった。CNNは18日の番組で「右派メディアによる捏造(ねつぞう)された醜聞」と断定。ニューヨーク・タイムズ紙は、大衆紙の記者自身が内容に確信を持てず、記事への署名を拒否していたことを「スクープ」するなど、信ぴょう性を疑う報道が目立つ。
トランプ氏はバイデン氏の問題をめぐってバー司法長官に「迅速な行動が必要だ」と調査を指示。22日の討論会で「外交」をテーマに加えるよう要求するなど、追及に躍起だ。一方、バイデン氏はウクライナ企業幹部との面会を否定しており、トランプ氏の姿勢を「絶望的な選挙運動の最後の悪あがき」と非難した。