米大統領選について、米世論調査の多くは直前までバイデン氏の優勢、トランプ氏の劣勢を伝えてきたが、投開票が始まると異例の大接戦となった。民主党ヒラリー・クリントン氏が優勢とされ、実際に票数で勝ちながら、獲得した選挙人の数でトランプ氏に敗れた前回16年大統領選に似た展開になりつつある。世論調査すら覆すトランプ氏の選挙力。パックンことパトリック・ハーランは支持者の「熱量の差」を指摘する。
【写真】パトリック・ハーラン
◇ ◇ ◇
米国出身タレントのパックンことパトリック・ハーラン(49) 前回の反省で世論調査会社は調査の精度を高めたと言っていたけれど、隠れトランプを今回もつかまえ切れていなかった。今年の反省会もきっと長くなるだろうと思います。
トランプ支持者とバイデン支持者の温度差がよく分かった選挙です。トランプ支持者は熱い。熱狂しています。コロナに感染するかもしれないのに、並んでも、仕事を休んでも、投票所がどんなに遠くても足を運ぶ。バイデンはめっちゃいい人だと思うけど、どうしてもバイデンに票を入れたいという人に会ったことがないんです。カリスマ性の違い、能動的な支持者と受動的な支持者の違いが数ポイントの差になって表れるのだと思います。
残る激戦州で、共和党が強いアリゾナをバイデンが取ったとしても、バイデンが勝つ可能性はもう10%ちょっとしかないと思う。バイデンは出身地のペンシルベニア州スクラントンでトランプに負けています。2000年大統領選でテネシーで負けたゴアが結局勝てなかったように、地元で負けてしまったらダメです。
2回目のテレビ討論で、バイデンは石油産業の転換に触れました。クリーンエネルギーへの移行は大統領候補者としては当然だと思いますが、今回はトランプに「大変な発言だ。彼は石油産業をつぶすぞ」と反撃のきっかけを与えた。絶対取らなければいけないペンシルベニアの流れを変える発言になりました。言わなければと、後々、残る言葉になるだろうと思います。
◆パックン パトリック・ハーラン。1970年、米コロラド州生まれ。ハーバード大卒。「パックンマックン」として活動する一方、米大統領選ウオッチャーとして各メディアに登場している。著書に「大統領の演説」など。