
「わが国の鉄鋼を海外に売るときには多くの規制があるが、反対に外国の鉄鋼がわが国に入ってくる場合は規制が少ない」
■世界競争力ランキング1位はシンガポール、韓国23位、日本は?
最近会ったある鉄鋼業界の関係者は、苦労している点を尋ねるとこう答えた。鉄鋼業界は国外では輸出規制、国内では輸入品過多によって頭を悩ませている。
鉄鋼産業は通商関係で規制対象の1位だ。大韓貿易投資振興公社(KOTRA)によると、今年上半期基準で韓国を対象とした輸入規制件数は過去最大水準の226件に達したが、このうち鉄鋼・金属産業が108件で約半数を占めた。世界の国々が一様に輸入規制によって自国の鉄鋼業を保護しているが、それだけ鉄鋼業が重要な基幹産業だからだ。
米国大統領選挙でも鉄鋼業の保護は常に熱い論議を呼ぶ。全国経済人連合会(全経連)が産業統計分析システム(iSTANS)の資料を基に過去30年間(1988-2018年)の対米輸出額の推移を分析した結果、韓国の鉄鋼産業は米国大統領選挙の翌年の伸び率が平均-8.1%だった。一方、それ以外の年は伸び率が20.7%で、その差は28.8ポイントに達した。
なぜこのような結果が出たのか、その背景をひも解いてみると、原因は結局一つに集約される。情報通信技術(ICT)をリードする米国も、経済を根本的に活性化するためには鉄鋼業の復興が重要だからだ。
選挙で政権を奪取した米国大統領と執権党が国民の支持を得るためにまず着手することが、外国産の鉄鋼に制裁を加え、自国の産業を保護する策を講じることなのだ。
今年7月に米政権は韓国産の冷延鋼板に対する反ダンピング(不当廉売)関税を免除する最終判断を下し、ポスコや現代製鉄など韓国の鉄鋼業界はひとまず安どした。