
安倍晋三前内閣から引き続き、政府ナンバー2の要職にとどまる麻生太郎副総理兼財務相。「菅義偉首相を支えていく」と繰り返すものの、元々2人は距離があるとされる上に、首相の後見人の二階俊博幹事長ともけん制し合う関係で、政権内で旗色は芳しくない。体調を回復させつつある安倍氏と再び手を結び、唯一無二の存在感を取り戻せるのか。麻生氏の周囲で静かな権力闘争が始まっている。
【画像】麻生太郎氏を巡る相関図
10日夜。都内のステーキ店に麻生氏の姿があった。2人きりで向かい合っていたのは、9月の退任後、政治活動を本格化させている安倍氏。「元気そうで何よりだ」。リラックスした様子の麻生氏は、「盟友」の肌つやの良さに満足そうな笑みをたたえた。
腹蔵ないコンビの話題は、安倍氏がその時機をうかがう出身派閥・細田派への復帰と会長就任にも及んだという。前向きな意向をくみ取った麻生氏は翌日、周囲に上機嫌で告げた。「(安倍氏は来年3月末の)年度替わりぐらいで、何らかの方向性を出すんだろう」