ミシュラン掲載店経営者ら逮捕 営業停止中の弁当販売で食品衛生法違反

ミシュランガイドにも掲載された大阪の日本料理店が、集団食中毒で営業停止処分を受けた期間中に、仕出し弁当を販売したとして、経営者ら3人が6月16日に逮捕されました。この弁当を食べた複数人からもノロウイルスが検出されています。

大阪・河内長野市にある『日本料理 喜一』は35年前に開業し、ミシュランガイドで複数回星を獲得した京懐石の名店です。店内は簡素な設えで、気の置けない友人や家族との会食に向くと評されていました。この店は家族経営で、代表取締役の北野博一容疑者(69)、妻で女将の経子容疑者(68)、長男で店長の博稔容疑者(41)が逮捕されました。逮捕容疑は食品衛生法違反です。

集団食中毒の発生と営業停止命令

事の発端は2月8日でした。同日から13日にかけ、店で食事をした客や仕出し弁当を食べた客合わせて43人が食中毒の症状を訴えました。保健所が調査を実施し、店の食事が原因と断定。2日間の営業停止を命じました。しかし、営業再開後も店の食事が原因とみられる食中毒が相次いだため、保健所は期限を定めない営業禁止命令を出しました。

営業停止中の弁当販売と逮捕の経緯

今回、経営者ら3人が逮捕されたのは、多人数に食中毒を出したこと自体ではなく、最初の営業停止処分を受けていた2日間の出来事についてです。捜査関係者によると、3人はこの営業停止期間中であるにもかかわらず、仕出し弁当11個を販売した疑いが持たれています。これらの弁当には1つ7000円以上の高価なものも含まれていました。販売された弁当からはノロウイルスが検出され、食べた数人が体調不良を訴えています。

ノロウイルスの感染源と悪質性

店の代表である北野博一容疑者はかつて、仕出しへのこだわりについて「出来上がってから2時間後3時間後に食べていただく仕出しを、お店の料理と同じ味付けにすると味がぼやけてしまいます。しっかりしただしで煮炊きしておかんとあきません」と述べていました。しかし、捜査関係者によりますと、店にノロウイルスを持ち込んだとみられるのは博一容疑者自身です。最初に客に被害が出た2月8日、博一容疑者は厨房でおう吐しており、後にノロウイルス感染が確認されています。また、店長の博稔容疑者と従業員2人も感染していました。

ミシュランガイドに掲載された日本料理店「喜一」の外観ミシュランガイドに掲載された日本料理店「喜一」の外観

被疑者の供述

食品衛生法違反での逮捕は異例とされています。捜査関係者はその理由として、「人の命を預かる立場にもかかわらず、消毒などをせずに営業し、悪質性が高いため」と説明しています。調べに対し、3人はいずれも容疑を認めています。博稔容疑者は「従業員がノロウイルスに感染していることを知っていて仕出し弁当を販売した」と供述。博一容疑者は逮捕前の任意の調べに対し、「仕出し弁当の注文を断れなかった」という趣旨の話をしていたということです。

今回の逮捕は、感染拡大のリスクがあるにもかかわらず、行政の命令に違反して営業を続けたことの重大性を示しています。

出典:

テレビ朝日