ロンドン(CNN) 英ロンドンでぜんそくの発作のために死亡した9歳の少女について、検視官が16日、大気汚染が死因だったと認定した。関係者は世界初の画期的な判断として評価している。
16日の検視報告書によると、死亡したエラ・キッシデブラさんは2013年2月、心停止を起こして病院に運ばれ、蘇生措置のかいなく死亡した。エラさんはロンドン南東部ルイシャムで幹線道路の近くに住んでいた。
エラさんは重いぜんそくのために心肺停止を引き起こしていた。それまで3年にわたり、何度も救急搬送されていたという。
死因について、医師は急性呼吸不全、重度のぜんそく、大気汚染が原因だったと診断。検視官は「過剰な大気汚染にさらされたことを原因とするぜんそくのために死亡した」と結論付けた。
英国の慈善団体によると、大気汚染が死因として死亡証明書に記載されたのは世界で初めてだという。
フィリップ・バーロウ副検視官によると、エラさんの母親は、大気汚染とぜんそくに関する情報の提供を受けていなかった。もし情報があれば、娘の死を防ぐことができていたかもしれないと指摘している。
バーロウ副検視官はサザーク検視法廷で2週間の審理を経て、「大気汚染はぜんそくを引き起こし、悪化させた重大な原因だった」と判断した。
その根拠として、エラさんは2010~13年までの間、世界保健機関(WHO)の指針を超えるレベルの二酸化窒素と粒子状物質にさらされていたと指摘、その主な原因は交通機関の排ガスだったと結論付けた。
エラさんの母親は、「私たちの街では今も、高いレベルの大気汚染の中を歩き回っている子どもたちがいる」「英政府だけでなく世界中の政府が、この問題を深刻に受け止めてほしい」と訴えている。