ワシントン(CNN) 米国のバイデン政権が、備蓄されている英アストラゼネカ製の新型コロナウイルス用ワクチンの一部をカナダとメキシコに送付することを検討していることがわかった。政権幹部が明らかにした。
メキシコ外務省によれば、カナダとメキシコからの要請を受けて、積極的な協議が行われているという。少なくともメキシコに対しては早ければ19日にも合意が発表されるとみられる。
ロイター通信によれば、メキシコのエブラルド外相は16日午前、記者団に対し、進展がみられているものの、詳細については19日まで判明しないとの見通しを示した。エブラルド外相は、可能な限り多くのアストラゼネカワクチンを要請したと述べた。
バイデン政権は、ワクチンを共有する前に、すべての米国人に対して接種が可能な量のワクチンの確保に専念している。もし今回の合意が実現すれば、米国としては直接他国にワクチンを提供する最初の機会となる。米国からのワクチン供給は、米国と比較してワクチン接種に苦慮しているカナダとメキシコにとって追い風となりそうだ。
サキ米大統領報道官は17日、カナダとメキシコからワクチンの要請を受けていることを確認し、注意深く検討していると述べた。
当局者によれば、検討中の選択肢のひとつは「交換」に関するもので、カナダとメキシコで将来過剰なワクチンが出た場合にはそれを米国と共有するという。
米国にはアストラゼネカワクチンが数千万回分備蓄されており、アストラゼネカによれば、米政府は4月末までに約5000万回分のワクチンを入手できる見通しだという。ただし、アストラゼネカが米食品医薬品局(FDA)に対して緊急使用許可(EUA)の申請を行っておらず、依然として米国で治験が進められているため、ワクチンは米国人には利用できない。
アストラゼネカのワクチンはカナダとメキシコで承認を受けている。アストラゼネカ自身もバイデン政権に対して備蓄分を他国に提供することを検討するよう求めている。