昨年10月にSKイノベーションの現地法人SKバッテリー・アメリカが出した採用広告。[写真 SKイノベーション企業ブログ]
SKイノベーションが米自動車メーカーのフォードと戦略的パートナーシップを強化している。半導体や電気自動車など核心産業をめぐる米中対立が深まる状況で、SKはバッテリー事業でフォードという「安全ベルト」を確保することになったと分析される。米国のバイデン政権は電気自動車産業の活性化と雇用確保に向けゼネラルモーターズ(GM)やフォードのような自国の自動車メーカーを積極支援している。
◇SK、フォードとバッテリー共同開発・量産まで
20日の財界によると、フォードとSKイノベーションは合弁法人設立と関連した了解覚書(MOU)を締結する。両社は車載用電池の基本単位である「バッテリーセル」を共同開発し、生産ラインもともに構築することにしたという。SKの崔泰源(チェ・テウォン)会長は訪米期間中に米南部ジョージア州にあるSKイノベーションの工場を訪れ従業員を激励する計画だ。
特に現地で20日に予定されたMOU発表はバイデン米大統領が18日にミシガン州にあるフォードの電気自動車工場を訪問した2日後に行われる。19日にフォードが公開した最新電気自動車「F-150ライトニング」を1日前に運転したバイデン大統領は「この車は速い。時速60マイル(約100キロメートル)まで速度を上げるのに4.4秒しかかからない」と強調した。F-150ライトニングにはSKのパウチ型(薄膜型)バッテリーが搭載された。
◇SKとLG、ともに米国にパイプライン構築
LGもやはり米国でGMとの協力を強化している。SKだけでなくLGも米国と中国で同時に事業を進めている状況で、それぞれフォードとGMという米国内の大型「パイプライン」(供給先)を確保した点はバッテリー事業の持続性の側面で肯定的だ。LGエネルギーソリューションは2019年12月にGMとバッテリー合弁法人のアルティアムセルズを設立した。GMの電気自動車「ボルト」にはLGとGMが共同開発したバッテリーが使われている。
延世(ヨンセ)大学経済学部のソン・テユン教授は、「先制的な投資、現地生産などを通じて米国の政界と財界に『韓国企業は信頼できる』というイメージを植え付けられるだろう。今後米中の緊張関係が高まり韓国政府や企業が戦略的選択を要求される状況に直面しても、韓国の立場を現地に伝えるのに役立つだろう」と話した。
◇「電気自動車を米国で現地生産」現代自動車の決定もSKに好材料
SKはフォードだけでなく現代(ヒョンデ)自動車・起亜(キア)とも米国内のバッテリー事業パートナーシップを強化する見通しだ。現代自動車が電気自動車プラットフォーム(E-GMP)を基盤に量産する「アイオニック5」、起亜の電気自動車である「EV6」にはSKイノベーションが納品したパウチ型バッテリーが搭載される。現代自動車グループは電気自動車の現地生産をはじめ2025年まで8兆4000億ウォン規模の米国投資を最近発表した。
現在SKイノベーションは総額3兆ウォンを投資してジョージア州にバッテリー第1・第2工場を作っている。第2工場は来年下半期の量産を目標にしている。現代自動車アラバマ工場とSKイノベーションのジョージア州バッテリー工場は自動車で6~7時間の距離だ。同じジョージア州にある起亜の工場とは3~4時間の距離だ。