デルタ株で希望折れたか、世界経済にスタグフレーションの恐怖(2)


安全資産であるドルと米国債に投資家が集まり、ウォンと国債利回りも落ちた。この日ソウル外国為替市場でウォンの価値は前日より2.60ウォンのウォン安となる1ドル=1150.40ウォンで取引を終えた。昨年10月8日の1153.30ウォンから9カ月来の安値水準だ。取引開始直後には1ドル=1152.70ウォンまでウォン安が進んだ。

国債価格も上がり、3年物国債利回りは前日より0.049%下落の年1.410%を記録した。米国債利回りも19日に前日より0.12%下落の1.19%で取引を終えた。米国債利回りが1.2%台を下回ったのは2月から5カ月ぶりだ。

ハナ金融投資のイ・ジェソン研究員は、「安全資産選好心理が強くてドルと国債を買う傾向が強く起きた。経済鈍化に対する危機感が先週から反映されている」と分析した。

市場がこのように恐怖に捕われたのは、デルタ株による新型コロナウイルス感染拡大傾向が強まっているためだ。世界で最も速くワクチン接種に出た米国もデルタ株によって新型コロナウイルスの1日新規感染者数が5月中旬以降初めて再び3万人を超えた。韓国でも2週連続で新規感染者が4桁を記録している。

新型コロナウイルスの急速な感染拡大傾向に回復傾向を見せていた世界経済が鈍化に逆戻りする可能性が大きくなっている。問題は景気鈍化の中で物価上昇圧力が大きくなる可能性だ。新型コロナウイルスの衝撃を緩和するために各国政府が展開した通貨緩和と景気浮揚策により市中に流動性はあふれている。その上供給のボトルネック現象と原材料価格上昇、ペントアップ消費などで物価上昇圧力は大きくなっている。

◇「ワクチン接種者増加…変異株の影響は限定的」

アメリカン・エンタープライズ研究所のデズモンド・ラクマン専任研究員は、ザ・ヒルに「極度に緩和的な通貨・財政が続いている。デルタ株により新型コロナウイルスの感染拡大傾向がさらに強まればサプライチェーンへの支障はさらに深刻化しかねない」と話した。インフレ圧力がさらに大きくなるかもしれないという話だ。それでも成長は停滞に陥る。新型コロナウイルスが強力だった昨年、各国はマイナス成長にとどまった。

だがデルタ株の感染拡大に対する懸念が過度だとの見方もある。ワクチン接種が進み致死率が下がるなど、昨年水準の全面封鎖のような措置は取られないと予想するからだ。新韓金融投資のチェ・ユジュン研究員は「デルタ株感染拡大も懸念要因として作用するか、変異株の感染拡大が致死率を高めなければ限定的な影響を及ぼすと予想する」と話した。

デルタ株で希望折れたか、世界経済にスタグフレーションの恐怖(1)



Source link