政治 衆院本会議で代表質問する立憲民主党の泉健太代表=19日午後、国会・衆院本会議場(矢島康弘撮影)
立憲民主党は19日の衆院本会議の代表質問で、泉健太代表が約30の政策提案を打ち出す一方、政権追及のトーンを強めた。党勢が低迷する中、提案型では存在感を発揮できないとの党内の懸念を意識したとの見方がある。ただ、安全運転に徹する岸田文雄首相を追い込められそうな好材料は見当たらず、夏の参院選に向けては手詰まり感も漂う。
泉氏は代表質問で「普通の安心が得られる社会を目指す」と述べ、首相に政策の見直しを提案した。新型コロナウイルス対策に関しては新変異株「オミクロン株」の特徴に合わせ、新型コロナ特別措置法に基づく蔓延(まんえん)防止等重点措置や緊急事態宣言の発令要件を改めるよう要求。首相が掲げる「新しい資本主義」に対しては、「所得」「地方」「将来」の観点から「3つの分配」を唱えた上で具体策を披露した。
他方で批判も目立った。泉氏は感染症法改正案の今国会提出見送り方針について「驚きだ」と酷評。森友学園をめぐる財務省の決裁文書改竄(かいざん)や、政府による日本学術会議の会員任命拒否も引き続き問題視した。
また、「米軍基地からのオミクロン株感染拡大は、国民の命と暮らしに直結する問題だ」と強調し、日米地位協定見直しや米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古への移設工事の中止を迫った。与党と接戦となっている23日投開票の名護市長選を意識したとみられる。
泉氏に続いて質問に立った小川淳也政調会長も攻勢を強めた。一般的に支持率が高いとされる政権発足後100日の「ハネムーン(蜜月)」は「過ぎ去った」と宣戦布告。方針転換をいとわない首相の姿勢について「一見柔軟だが、朝令暮改の対応は首相の決定の重みを失わせている」と批判した。
「政策立案型」を掲げる泉氏の代表就任後、報道各社の世論調査で立民の支持率は下落傾向にある。立民幹部は「このままでは参院選を戦えない。攻撃的にいく」と話す。ただ、首相は「国民にとって最善の対応をとる」などと安全運転に終始しており、決定打を繰り出せるかは不透明だ。(沢田大典)