金沢地方裁判所
金沢市片町で2020年、男女2人が死傷したひき逃げ事件の裁判員裁判は2日、金沢地裁(大村陽一裁判長)で証人尋問が始まった。自動車運転死傷行為処罰法違反(危険運転致死)などに問われた被告の元少年(20)が運転する車に同乗した女性は、事件前に男女7人で訪れたカラオケ店の様子を説明。曲に合わせコップに約30ミリ・リットル入れた焼酎を一気飲みするなど、事故当日の状況を証言した。
女性は「コップを15回以上被告人に渡した。渡した酒は全て飲み干していた」と証言。事故を起こした際に元少年が車内で「人をはねた」「やばい」と発言していたと明かし、「被告人に『絶対誰にも言うなよ』と言われた」と述べた。
一方、弁護側は元少年が発泡酒1缶のみを飲酒していたと説明しており、反対尋問では、飲酒量の認識に誤りがあると主張。女性が事故直後、他の同乗者らとの口裏合わせを考えたことや警察にうその説明をしていたことにも言及した。
また、重傷を負った被害者の男性は証人尋問で、はねられた後、他の車にひかれないよう、「地面に肘をついて体を引きずりながら路肩まで必死に移動した」と説明。「救助、通報もせず路上に放置され、悔しい思いや怒りを感じた」と心境を明かした。