あいさつをする石原伸晃氏(右)とその隣から良純氏、宏高氏、延啓氏。後方に小泉純一郎元首相の姿も=5日午後、東京都大田区(鴨志田拓海撮影)
1日に死去した元東京都知事で芥川賞作家、石原慎太郎さん(享年89)の密葬が5日、東京都内の自宅で営まれた。遠縁にあたる小泉純一郎元首相(80)や親族ら約20人が参列した。
出棺の際、位牌を抱いた長男で喪主の石原伸晃元衆院議員(64)は「生前、父石原慎太郎に賜りましたご厚情に心を込めまして感謝申し上げます」と短くあいさつ。笑顔の遺影を持った次男でタレントの石原良純(60)は、うつむき加減に体を震わせた。
密葬前には岸田文雄首相(64)が自宅を弔問。報道陣に「お亡くなりになった今、改めてその存在の大きさを痛感している」と話した。
戒名は「海陽院文政慎栄居士(かいよういんぶんせいしんえいこじ)」。文学の「文」や政治の「政」など故人を象徴する字が並んだ。棺には故人が気に入っていたという自著「私の海の地図」などが納められた。
関係者によると石原さんは生前、自身の墓石に「青嵐報国」との文字を刻むよう指示していた。自民党衆院議員時に所属した保守派グループ「青嵐会」にちなんでいるといい、関係者は「青嵐会で活躍した頃の思いがあるのでは。『忘れるなよ』ときつく言われました」と明かした。石原家の先祖代々の墓は神奈川県逗子市の海宝院にある。