
神奈川県警察本部
神奈川県大和市の自称看護助手上田綾乃容疑者(42)が7歳だった次男・雄大君への殺人容疑で逮捕された事件で、上田容疑者の119番で救急隊が駆けつけた際、雄大君の体温が34度台まで下がっていたことが、捜査関係者への取材で分かった。上田容疑者は雄大君が倒れてすぐに通報したと消防側に説明していたが、心肺停止から1時間近く経過していた可能性があり、矛盾するとして、県警が詳しく調べている。
捜査関係者によると、上田容疑者は事件当日の2019年8月6日午後、「(雄大君が)突然胸が痛いと訴え、動かなくなった」と自宅から119番。約5分後には救急隊が到着したが、雄大君はすでに心拍も呼吸も止まり、体温は35度を下回っていたという。
上田容疑者は、小学1年生だった雄大君の口と鼻を塞いで窒息死させたとして、今月20日に逮捕された。「何もやっていません」と容疑を否認している。司法解剖で、雄大君の死因は低酸素脳症の疑いと判明。後頭部には、あおむけの状態で上から顔をおさえつけられたためとみられる皮下出血が確認された。
県警は21日朝、上田容疑者を横浜地検に送検し、事件当時の状況や動機について捜査を進めている。
児相「虐待確認できず」…きょうだい3人も急死
事件前、雄大君を2度にわたって保護していた神奈川県の児童相談所が21日、記者会見を開いた。担当者は、上田容疑者の日常の育児について「虐待など明らかな問題は確認できず、雄大君が亡くなる4日前の面接でも異常はなかった」と説明した。
児相によると、雄大君は生後5か月だった2012年10月に自宅で心肺停止状態となって救急搬送された。その約10年前には、いずれも1歳未満だった兄と姉が事故や病気で相次いで急死していたことから、児相は雄大君が12年11月に退院した後、約2年5か月にわたり保護した。
雄大君を自宅に戻した約2年後の17年4月、1歳5か月だった弟が急死(死因不詳)し、雄大君を再び保護。児相は親元から離して施設に入所させるのが適当と判断し、家庭裁判所に審判を申し立てたが、きょうだいの死亡に事件性は確認されておらず、上田容疑者が児相の指導にも従っているとして却下された。