(左から)山野之義氏、馳浩氏、山田修路氏
28年ぶりに新知事が決まる石川県知事選(13日投開票)は12日、選挙戦最終日を迎え、元プロレスラーで前衆院議員の馳浩氏(60)ら新顔5人が最後のお願いを訴えた。馳氏、山野之義前金沢市長(59)、山田修路前参院議員(67)の自民系3人の横並び状況が続き、史上まれに見る大激戦を繰り広げている。
注目が集まる今回の保守分裂選挙は、終盤戦に入っても先行きが見えない。金沢市長を11年間務めた山野氏は、決起集会で約200人を前に「失敗もたくさんしたけど皆さんに支えられいい仕事をしてきた自負があります。やる気、あります。経験を県政に生かしたい」と訴えた。
ソフトバンクの営業マンだった異色の経歴を持つ山野氏は、この日はマイクを長時間握らず、約5時間かけて金沢市内を練り歩き、県民の声に懸命に耳を傾けた。選挙戦では市政に尽力したことをアピール。「何の組織の支援もない私が、2人と横一線に並んでいる。それは『山野は信頼できる、山野はいいぞ』と言ってくれた仲間がいたから」と支援に感謝した。
接戦が続く中、大票田である金沢市内の無党派層の動きが勝敗を左右する可能性が高い。自民党県連の支持に加えて日本維新の会の推薦を受ける馳氏、立憲民主党や連合石川が推薦する山田氏と異なり、山野氏は政党の支援はない。陣営関係者は「無党派層には、山野はかなり強い。現場に一番近い位置にあり、実績が票を引き寄せている」。組織票がなく「第3の男」とみられていたが、手応えを感じている。
同市のアル・プラザ金沢でマイクを握った馳氏は「三つどもえの激しい戦いです。これまでやってきたことを詰め込んでいきます」と決意を口にした。告示後は、国政での人脈を生かし、安倍晋三元首相、菅義偉前首相、小泉進次郎前環境相、この日は河野太郎広報本部長と、中央政界の大物が来県。新日本プロレスの棚橋弘至も応援に駆けつけた。政党色を前面に出し、圧倒的な空中戦を展開するも混戦から抜け出せずにいる。
文科相などを歴任してきた馳氏は、いじめや児童虐待などの防止に取り組むと宣言。「多様性のある社会が作りたい。お互いを理解し合い、特に家族をしっかりと大切にできるような県政づくりを目指していきたい」と身ぶり手ぶりを交えながら話した。
同市中村町で演説を行った山田氏は、先月20日に投開票された長崎県知事選について触れ「差はたった541票差の大激戦でした。石川県知事選もわずかな中に、3人が肩を並べているんです。5人でも10人でもいいので声を掛けてください」と力強く訴えた。
政策については、2024年に金沢と福井・敦賀を結ぶ北陸新幹線が開業することを踏まえ「観光客だけでなく、移住、定住する方々も増やしたい」と主張。「冷静に判断して、知事を選んでほしい」と呼び掛けた。(坂口 愛澄)
◆石川県知事選
飯森博子(62)女性団体代表 無新
山野之義(59)前金沢市長 無新
山田修路(67)前参院議員 無新
馳 浩(60)元文科相 無新
岡野晴夫(71)元会社員 無新
※敬称略。届け出順
報知新聞社