日航のボーイング777型機(2017年撮影)
日米両国で起きたエンジントラブルで運航が停止されていた旅客機・ボーイング777―200型、300型について、国土交通省は18日、運航停止措置を解除することを決めた。昨年2月の運航停止以来、約1年ぶりに旅客機としての運航が可能になる。
【写真】住宅の庭に落ちたボーイング777の巨大な部品
これらの旅客機は主に国内線に使用され、運航が停止された当時、日本航空は13機、全日本空輸は19機を所有していた。日航は昨年3月までに全機の退役を完了させた。全日空は4機を売却したが、残る15機を所有している。
問題となったエンジントラブルは、2020年12月、那覇発羽田行き日航904便(ボーイング777―200型)で発生した。離陸後に左側エンジンで異音と振動が生じ、調査の結果、エンジン内のファンブレード(羽根)2枚が損傷、エンジンを覆う「カウル」の一部も破損していた。
21年2月には米・コロラド州デンバーでユナイテッド航空の同型の旅客機が離陸した直後、右側エンジンが炎上し、部品が住宅地に落下。これを受けて、国交省がボーイング777―200型と、同じ米プラット・アンド・ホイットニー社製エンジンを積む300型の運航停止を指示し、米国でも運航が見合わされた。
運輸安全委員会の調査では、日航機のエンジンの羽根に細かい傷が広がる「疲労破壊」の特徴が見つかった。国交省は事故防止策として、羽根の検査頻度を従来の6500回の飛行につき1回から、1000回に1回とするなどの対策をとりまとめた。
運航停止措置の解除は着実な対策の実施を前提とし、国交省は、同型機を所有する日航と全日空に対して、検査強化を求める「耐空性改善通報(TCD)」を発行する。