地方空港の寂しい現状
和歌山県の南紀白浜空港。羽田便が1日3往復ある(画像:シカマアキ)
日本全国には99もの空港がある。その多くが
「地方空港」
と呼ばれ、地方と東京や大阪などの都市部を結ぶ運航便が就航している。
【最寄り駅なのに!】空港から4kmも離れている「花巻空港駅」
空港はその性質上、広い敷地が必要なため、何もない山中や海上を埋め立てたエリアに造られていることがある。一般的に、地方空港の大半は多くの利用者にとって不便な場所に立地している。
都市部の空港と大きく異なるのは、就航便の数だ。人口が少ないと利用客も当然少なく、便数は乏しい上に飛行機のサイズも小さい。主要空港ならば、空港から鉄道やバスなどが多く用意されているが、地方空港は空港からの足が非常に限られている。
利用客が少なければ、鉄道やバスなどの運行会社は路線を引いても採算が取れない。発着便に合わせたバスのみを運行している地域もあるが、実際のところ、国や自治体などが税金で補てんし、なんとか存続させているケースも少なくない。
近年、個人手配の国内旅行が増えている。ツアーだと空港からの交通手段は心配無用だが、個人手配だと自ら用意しなければならない。現地に到着したても、その後が不便では観光誘致も難しいだろう。ということで、今回は地方空港における交通アクセスの現状を考察する。
新幹線や高速道路に苦戦する空港
広島空港にあったバス乗車券売り場(画像:シカマアキ)
各都道府県の空港数はばらつきがある。都道府県ごとに少なくともひとつ作られているイメージだが、離島ごとに空港があったり、北海道に複数の空港があったりするケースも。そもそも、空港はなぜこんなに多く作られているのか。それは、鉄道や道路といった陸上のアクセスがまだ不便だった時代に計画されたからだ。
しかし近年、新幹線の路線ネットワークが全国に広がり、高速道路も数多く整備されている。その影響で、東京~仙台、大阪~徳島といった近距離を結ぶ飛行機の多くが廃止となった。
最たる理由は、鉄道や高速バスで移動するほうが安く、総移動時間もそう変わらないからだ。家族などの同乗者が多い場合、高速道路を使って移動するほうが安く済むケースもある。そうした状況もあり、地方空港は劣勢に立たされているのである。
昔も今も、空港と主要都市を結ぶ一般的な交通手段はバスだ。宮崎空港や米子空港(鳥取県)のように、一部の地方空港は鉄道駅が近くにあるが、殆どの空港は徒歩でアクセスできない。
しかも、地方空港発着のバスは本数が多くない。ほとんどが運航便に合わせての運行で、
・運航便出発の30分ほど前に着く
・運航便が到着して10~15分後に出発する
といった具合だ。乗り損ねたら、公共交通手段はタクシーのみで、その運賃は高額になる。