捜索が続く知床岬の海岸線(26日午前9時47分、北海道斜里町で、読売ヘリから)=川口正峰撮影
北海道・知床半島の沖合で乗員乗客26人が乗った観光船「KAZU I(カズワン)」が消息を絶った事故は26日、発生から4日目となり、安否不明者15人の捜索が続いている。24日夜に知床岬の東側で女児が発見されて以降、不明者の発見はなく、船体も見つかっていない。捜索は範囲を拡大しているが難航しており、船が沈没して船内に人が取り残されている可能性もあることから、海上保安庁は水深の深い海底を探索できる測量船を新たに投入する。
乗員乗客26人のうち、これまでに11人の死亡が確認された。捜索には地元の漁業者も参加し、25日時点で知床岬から10カイリ(約18キロ)の範囲で行われているが、不明者が半島を西から東に流れる海流に流されているとみられ、範囲を広げる必要に迫られている。北方領土の国後島と知床半島の中間ラインを越えて捜索する可能性が出ており、海保は海難救助に関する協定に基づき、ロシア当局に捜索活動について伝達した。
船体は26日午前時点で見つかっておらず、第1管区海上保安本部(北海道小樽市)は船が沈没し、船内に乗客乗員が取り残されている可能性もあるとみている。1管によると、26日午前、船が消息を絶った現場付近の海中で通常と異なる水中音波探知機(ソナー)の反応があり、確認作業を進めている。
海保はこれまでにもソナーを使って捜索しているが、現場周辺の海域は浅瀬から水深100メートル以上に急激に深くなる場所があり、より高精度のソナーをもつ測量船の投入が必要と判断。水深約200メートルまで調査可能な測量船「天洋」(全長約56メートル、430トン)を現場海域に派遣することを決めた。
測量船は26日に東京都を出発し、現地へと向かう。作業開始までには数日かかる見通し。