講演で自らの思いを語る清水さん
犯罪被害者遺族の思いを聞き、命の大切さを学ぶ集会が6日、佐賀県みやき町立北茂安中(伊東幸一郎校長、257人)で開かれた。11年前に事件で長女(当時3歳)の命を奪われた熊本市の清水誠一郎さん(51)が講演し、犯罪のない社会の実現への願いを語った。
清水さんは2011年3月、同市の商業施設でトイレに1人で行った長女の心(ここ)ちゃんを大学生の男に殺害された。集会は県警や町教育委員会などが主催し、清水さんと妻の真夕さん(49)が来校。体育館での講演を町立中原中と三根中にも同時配信した。
演壇に立った清水さんは、事件を振り返りながら、一時は残された家族全員で命を絶とうと考えたことや、最愛の娘を守れなかったという自責の念に苦しみ続けている心境を明かした。一方で、被害者支援の取り組みに支えられたことにも触れ、「近くに苦しんでいる人がいたら、手を差し伸べてほしい」と語った。
心ちゃんは悲劇に見舞われなければ中学3年になっていた。清水さんは同世代の生徒たちに向かい、「大きくなった娘の姿は見られないが、皆さんの力で犯罪のない未来を作ってもらいたい」と呼びかけた。
講演を聴き、いずれも3年で生徒会長(14)は「自分や周りの一つ一つの命を守れるようになりたい」、副会長(14)は「周りの人と支え合いながら、笑顔で毎日を過ごしたい」と話した。