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(写真:読売新聞)
ザポリージャ原発の近くで警備にあたるロシア側の兵士(ロイター)
【リビウ(ウクライナ西部)=工藤彩香】ウクライナ南部ザポリージャ州の親ロシア派武装集団の幹部は12日、露軍が占拠しているザポリージャ原発周辺の防空態勢を強化したと露国営テレビで語った。国連などが求めていた原発周辺の非武装地帯設置を拒否する姿勢を改めて示した。
同幹部は「防空態勢が強化、拡大され、何が飛んできても撃墜できる」と主張した。ロシアのメドベージェフ前大統領も12日、ウクライナや米欧が原発を攻撃しているとして「新たなチョルノービリ(チェルノブイリ)を作り出そうとしているようだ」と訴えた。
欧州最大規模の同原発には5日以降、砲撃が相次ぎ、ロシアとウクライナ双方が相手の攻撃だと非難している。双方とも国際原子力機関(IAEA)の現地調査団を受け入れる意向を示しているものの、早期実現は困難とする見方がある。
一方、南部クリミアの軍用飛行場で9日にあった大規模爆発で、ウクライナ政府高官は12日、パイロットなど露軍関係者60人が死亡し、100人が負傷したとする推計を示した。米紙ニューヨーク・タイムズが報じた。これまでの被害推計を大きく上回るという。
英国防省は12日、この爆発で被害を受けた露軍の戦闘機について「少なくとも5機の『スホイ24』と3機の『スホイ30』が破壊されたか、深刻な被害を受けた」との分析を公表した。露軍の航空戦力全体では重大ではないとしつつ、「黒海艦隊の航空戦力は著しく低下している」と指摘した。