「すべてが悪夢」寝坊の罰は熱湯…船で奴隷労働6年、タイ人が語った地獄

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「すべてが悪夢」寝坊の罰は熱湯…船で奴隷労働6年、タイ人が語った地獄

6年間、奴隷のように働かされてきたコラーさん。多くの歯がない=8月3日

 タイ人のコラーさん(54)はマレーシア沖で漁をする船で“奴隷労働”を強いられていた。炎天下、仕事は毎日約16時間。漁網を流し、力を振り絞って引き上げ、魚を仕分けて再び網を流す。それを1日に4、5回。早く動けと船長などから殴られ、何度も頭が切れて血が流れた。

【写真】奴隷労働させたとして取り締まりを受ける漁船

寝坊の罰は熱湯…深く眠れず

 取った魚は洋上で大型船に積み替え、自分たちの船が燃料補給などのためにマレーシアの港に戻るのは月に1回。休みは、寄港時と大しけの日だけだった。

 陸で逃げた仲間は捕まり、激しく暴行された。逃げようとしたのか、違う船の漁船員の遺体が漁網に入っていたこともあった。自由を目指す気力はなかった。

「給料がいいよ」と誘われ

 「食事や生活用品の代金を天引きしたと言われた。記録してなかったので言い返せなかった」。1カ月の食材は、乗組員十数人で鶏肉3羽分と豚肉5キロとコメ。自分たちで料理し、月末は取った魚でしのいだ。

安価なシーフードの陰の苦渋

 「すべてが悪夢だった。今も嫌でも思い出してしまう」。コラーさんは涙で声を詰まらせた。世界3位の水産物輸出国のタイをはじめ、東南アジアから日本へ送られる安価なシーフードの陰には、コラーさんのような人々の苦渋がある。

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