13日、ロシア軍が去ったウクライナ北東部バラクレヤ市内(EPA時事)
【ワシントン時事】ウクライナ軍が東部と南部でロシア軍に対する反転攻勢を続けている。
【図解】地図で見るウクライナ情勢
ゼレンスキー大統領は13日のビデオ演説で、これまでに約8000平方キロを解放したと発表。ロシアの侵攻開始から200日以上が経過する中、戦局はウクライナ側に傾きつつある。
バイデン米大統領は13日、記者団に対し「ウクライナが大きな前進を遂げたのは明らかだ」と強調した。ただ、流れは変わったと思うか問われると「何とも言えない」と答え「まだ長い道のりがある」と慎重な姿勢を崩さなかった。米政府高官はウクライナへの追加武器支援を近く発表すると明らかにした。
ウクライナ軍は今月に入り、北東部ハリコフ州のロシア軍占領地域で大規模な反撃に乗り出した。ハリコフ州からロシア軍の駆逐にほぼ成功したとみられている。
英国防省によると、ハリコフ州からはロシア軍最精鋭の「第1親衛戦車軍」が撤退を余儀なくされた。この部隊は通常、ロシアの首都モスクワの防衛を担い、北大西洋条約機構(NATO)との戦争の際には攻撃を主導する立場だが、大きな打撃を受けたという。
ゼレンスキー氏はこれまでに奪還した地域のうち、約半分に当たる約4000平方キロでロシアの残党やその協力者の摘発を完了したと主張した。「占領が解かれた地域にはわれわれの部隊や旗とともに、日常生活が戻ることが重要だ」として、奪還したばかりの北東部の都市バラクレヤなどで年金の支払いが始まったと述べた。
ゼレンスキー氏は14日、ロシア軍から奪い返したハリコフ州の要衝イジュムを訪れ、部隊を視察。大統領府は、同氏が兵士と握手したり自撮りに応じたりする写真を公開した。
ウクライナは南部ヘルソン州でも攻勢に出ている。ウクライナのメディアは軍当局の話として、ヘルソン州を東西に流れるドニエプル川の北岸で孤立したロシア軍部隊の一部が降伏交渉を試みていると伝えた。米シンクタンクの戦争研究所は「南部でのウクライナ軍の反撃は、ロシアの士気と軍事力に大きな影響を与えている」と分析している。