14日、ロンドンのバッキンガム宮殿からウェストミンスター宮殿に向かうエリザベス女王のひつぎ(AP)
【ロンドン=池田慶太】エリザベス英女王の遺体を納めたひつぎが14日、ロンドン中心部のバッキンガム宮殿から近くのウェストミンスター宮殿まで約1・8キロ・メートルにわたり、列を組んで行進した。70年にわたり君主を務めた「国民の母」の悲報から15日で1週間を迎える中、英国全土は引き続き悲しみに包まれている。
女王のひつぎは13日夜、北部スコットランドから空軍機でロンドンに移され、歴代君主の公邸で女王も在位中の大半を過ごしたバッキンガム宮殿で最後の一夜を過ごした。ひつぎを乗せた霊きゅう車が宮殿に到着した際、集まった数千人の市民から拍手が送られた。宮殿ではチャールズ国王やウィリアム皇太子ら家族が出迎えた。
国会議事堂を兼ねるウェストミンスター宮殿までの行進では、ひつぎの後ろを国王ら王室メンバーが徒歩で付き添った。ひつぎは宮殿で最も古いホールに安置され、礼拝の後、19日の国葬当日朝まで一般市民らの弔問を受け付ける。
女王の母、エリザベス皇太后が2002年に死去した際もひつぎは公開安置され、約20万人が弔問に訪れた。今回はそれを上回る100万人近い市民が訪れると見込まれている。宮殿近くでは女王に別れを告げようと数日前から弔問待ちの市民の列ができた。行列はテムズ川南側に沿って10キロ・メートル以上続き、英メディアは「30時間待ち」と伝えた。
女王の最期をみとり、ひつぎの移送に付き添った長女のアン王女は13日に声明を出し、「母の最後の旅に同行できたことは光栄であり、特権だった。旅の途中、多くの人々が示してくれた愛と敬意に身が引き締まり、励まされた」と謝意を述べ、「私の母、女王、ありがとう」と悼んだ。
19日の国葬はロンドンのウェストミンスター寺院で執り行われる。当日は休日となり、各地で追悼行事が予定されている。