G20「下ぶれリスクの共有を」 門間一夫・みずほ総合研究所エグゼクティブエコノミスト

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 9日に閉幕した20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議では、米中貿易摩擦が世界経済の下振れリスクであるとの認識がおおむね共有されたが、G20首脳会議でもその認識を改めて共有することが重要だ。世界経済は決して悪くはないが、下振れリスクは存在し、今の成長そのものには決して満足できない。こうした認識を国際社会として共有すべきだろう。

 G20は現在、非常に抽象的な合意形成の場となっている。リーマン・ショック後のような危機的状況においては存在感を発揮するが、平時においては緊急時に協力度を高められるようにするための関係作りという部分が大きい。これまでのフレームワークに亀裂が入ることを避け、淡々とこれまでの考え方を大枠で維持していくこと自体に意義がある。

 会期中の焦点のひとつである米中首脳会談だが、米中としても貿易摩擦で決定的な対立を避けたい思いは共有しているはずだ。中国が報復関税を発動しないよう米国は時間稼ぎに注力するだろうが、非常に予測は難しい。だからこそ、景気の下振れリスクが今年後半にかけても残ることを共通認識として捉えるべきだ。

 議長国の日本は円滑に会議を進め、こうした認識を各国で共有できるよう調整する役割が求められる。米巨大IT企業などへの「デジタル課税」についてはある程度、大枠で合意できる見通しだ。重要な土台を築けたことは議長国のレガシー(遺産)となるだろう。

もんま・かずお 東大経卒。昭和56年日銀入行。調査統計局長、企画局長を経て、平成24年に理事。28年5月に日銀を退職し、同年6月から現職。61歳。北海道出身。

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