(CNN) ロシアから欧州に天然ガスを供給するバルト海の海底パイプライン「ノルドストリーム」で起きた不可解な爆発やガス漏れで、米政府高官と米軍当局者は2日までに、原因解明の捜査での最大の容疑者は依然、ロシアであるとの判断を示した。
巧妙な破壊工作との見方が強まっている欧州側の分析を念頭に置き、そのような工作を仕掛けられる能力を持つと疑われる相手はほかにいないとの認識に基づく。
ガス漏れが起きた海域を持つデンマークの軍当局者も「この種の行為をこなせる能力を保持し実行への関心も持つほかの利害関係者を地域内で見つけ出すのは難しい」との見解を示した。ガス漏れはスウェーデンの海域内でも発生したとされる。欧州では原因究明の捜査態勢も敷かれつつある。
ロシアはガス漏れ発生やパイプライン損傷を受け先週、国連安全保障理事会の招集を要請した。ただ、米政府高官はこの対応自体にも疑いの目を向けている。
ロシアは通常、安保理会合の開催要求をこれほど迅速に求めるほど組織立った行動を示していないとし、それだけに今回の処置は事前に準備されていたことを示唆するともみている。
仮にロシアが今回の爆発などに絡んでいた場合、自らが権益を持つノルドストリームのパイプライン2本の破壊工作に携わったことを意味する。ロシアの国営天然ガス企業「ガスプロム」はノルドストリーム1の株式の大半を、ノルドストリーム2では単独の保有権を握っている。
ただ、最新の諜報(ちょうほう)に通じる米政府当局者らは、ウクライナ支援で欧州諸国が背負う負担が大きくなるのであればロシアは今回のようなパイプライン破壊工作は相応の価値があると判断する可能性があると指摘した。
米国や西側諸国の情報機関当局者は、プーチン氏は電気代が値上がって冬場が近づけば、欧州諸国の住民はロシアを経済的に孤立させる西側の戦略に異議を唱え始めることに賭けているとの見方も示した。
米政府当局者の1人は、パイプラインの破壊工作は「ロシアにできることを見せつけている」可能性もあるとした。
この中でロシア大統領府のペスコフ報道官は、ロシアがパイプラインを狙ったとする一切の主張は「馬鹿げている」と一蹴(いっしゅう)。今回のガス漏れの「前代未聞の特徴」などを踏まえれば「テロ攻撃」の結果だった可能性にも触れた。