【AFP=時事】米国のドナルド・トランプ政権は、南アフリカ白人の米国への再定住を来週にも開始すると米メディアが8日、報じた。トランプ氏は、南ア政府が「人種差別」を行っていると非難している。
【写真】トランプ氏、南ア政府が白人の土地を「没収」 農場主の移住を歓迎
トランプ氏は、南アの土地収用法を、白人が所有する農場の乗っ取りにつながると批判。同国政府と外交論争を繰り広げている。
南ア生まれの実業家、イーロン・マスク氏の盟友であるトランプ氏は2月、1月に署名された土地収用法により「南ア政府は人種的少数派のアフリカーナー(オランダ系を中心とする南ア生まれの白人)の農地を補償なしで押収できるようになる」と批判した。
同法は、南ア政府が公共の利益のために補償なしで土地収用を決定できるようにするものだが、特段の事情がある場合に限られる。
この再定住計画は、米国の調査報道メディア「ザ・レバー」が最初に報じた。同紙は4月30日付のメモを引用し、南ア白人が「数日以内に」米国に到着する予定だとし、政府筋の話として、トランプ政権は今年、最大1000人のアフリカーナーを米国に再定住させる準備を進めていると伝えた。
米公共ラジオNPRと米紙ニューヨーク・タイムズは、南ア白人の第1陣は12日に到着予定だと報じたが、ニューヨーク・タイムズは当局者の話として、日程は輸送の状況次第で変更される可能性があると伝えた。
トランプ氏は2月、就任直後に米国への難民の入国を停止したにもかかわらず、「不当な人種差別の被害者である南アのアフリカーナー」のための難民支援プログラムへのアクセスを優先すると表明。また、南アに対する米国の支援を停止する大統領令も発令した。
アフリカーナーは、オランダを中心とする欧州からの入植者の子孫で、南アでは主に農業に従事している。
南アは1994年まで、多数派の黒人から政治的・経済的権利を剥奪する残忍な人種隔離政策「アパルトヘイト」の下で、英国系とアフリカーナーの白人入植者に支配されていた。【翻訳編集】 AFPBB News