ウクライナ部隊、南部ヘルソンで前線を突破 東部でも前進
ウクライナ軍は、ウクライナ南部ヘルソンで、ドニプロ川のロシア軍陣地を突破した。ヘルソンは戦略上の要衝で、ロシアが占拠していた。ロシア軍と、現地の親ロシア当局が3日、明らかにした。
ロシアが任命したヘルソン当局トップのウラジーミル・サルド氏によると、ウクライナ軍は、前線だった地点の南約30キロにある、ドニプロ川沿いの町ドゥドチャニ付近を突破したという。
サルド氏は、「いくつかの集落がウクライナ軍に占拠された」と述べた。ロシアの一部報道は、ウクライナ軍がドゥドチャニを制圧したとしている。
サルド氏によると、ウクライナ軍の2個大隊は、ヘルソンの東約70キロにある港湾都市ノヴァ・カホフカのカホフカ水力発電所を目指したという。
ロシア国防省のイーゴリ・コナシェンコフ報道官は、「数の上で優勢な」ウクライナ戦車部隊が、ドニプロ川沿いの前線となっていたゾロタヤ・バルカ村の南に「深いくさびを打ち込んだ」と説明。また、この時の戦闘で、ロシア軍はウクライナ兵約130人を殺したと主張した。
ロイター通信によると、ウクライナは、ドニプロ川西岸にいる約2万5000人のロシア部隊への補給路を断とうとしているという。
ウクライナ部隊は、ヘルソン戦線の北西側から砲撃し、ロシア軍の重要ルートとなっているアントノフスキー橋に大きな損害を与えているとされる。
ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は、国民向けの2日夜の演説で、「いくつかの州で新たに解放された集落がある」と述べた。
さらに、「多くの地域で激しい戦闘が続いている」としたが、詳しくは話さなかった。
■東部でもウクライナが進軍
東部ルハンスク州でも、ロシアが支配する地域にウクライナ軍が前進した。
ルハンスク州の親ロシア派部隊によると、ウクライナ軍は同州に数キロメートル入り込んだ。報道によると、ウクライナ軍はロシアが制圧している町クレミンナとスヴァトヴェに向かっている。
ウクライナ軍は1日、ルハンスク州境に近い要衝リマンを奪還した。ロシア軍はリマンを物流拠点にしていた。
ヘルソンとルハンスク両州は、ロシアのプーチン大統領が同国の一部だと一方的に宣言した4州に含まれる。ロシアはこの4州のいずれも完全には支配していない。
プーチン氏がモスクワの赤の広場で併合を宣言したのは9月30日夜だったが、そのわずか数時間後に、ロシアは軍事的な後退を強いられた。
ウクライナは、2014年にロシア軍に奪われたクリミアを含め、ロシアによって併合されたすべての領土を奪還すると宣言している。
(英語記事 Ukraine tank breakthrough in south towards Kherson)
(c) BBC News