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SpaceXは最近「Starlinkの端末やサービスをウクライナに提供し続けるのが困難になりつつあり、毎月数千万ドルのコストを国防総省が負担しない限り、ウクライナ向けサービスを停止する可能性がある」と警告した。
SpaceXがウクライナ向けサービスから撤退すれば悲劇としか言いようがない
ロシア軍による侵攻直後、ウクライナのフェドロフ副首相(デジタル化担当相を兼任)はStarlinkの提供をSpaceXに要請、同社を率いるイーロン・マスク氏は要請から24時間以内に「提供外だったウクライナへのStarlinkサービスが始まった」と発表した。
SpaceXが提供する衛星通信サービス「Starlink」は現在のウクライナ軍にとって不可欠な通信手段になっており、どれだけ地上ベースの通信施設を破壊されても受信端末と発電機さえあれば前線部隊との通信を確保することができ、ドローンが撮影した映像を瞬時に共有できるため砲撃の修正に欠かすせず、ウクライナ軍曰く「Starlinkがなければ砲撃による攻撃効率は60%以上低下し、貴重な砲弾の節約が不可能になる。前線部隊がStarlinkなしに戦うのは銃なしに戦うのと同じだ」と述べている。
さらにロシア軍がStarlinkの妨害を試みてもSpaceXが直ぐにコードの修正を行い「妨害の無効化」を行うためStarlinkの通信は抗堪性が非常に高く、FT紙は「現在の反撃過程でStarlinkが停止、ウクライナ軍は混乱に陥った」と指摘したが、マスク氏は「非常に限られたエリアの話でFT紙の報道は大げさ」と、ウクライナ軍関係者も「前線付近で何度が通信ができなくなったが大した問題ではない」と述べており、如何にウクライナ軍がStarlinkに依存しているかを実感する話だ。
SpaceXの迅速な対応、受信端末の無償提供、Starlinkの有効性に多くのウクライナ人がマスク氏に感謝していたが、この関係性はロシアに譲歩する形での戦争終結案を提案したことで破綻してしまう。
マスク氏はウクライナの中立、ロシアへのクリミア譲渡、ロシアが併合した4州について国連監視下で住民投票の再実行を提案、ロシアの主張を全面的に認める提案にウクライナは激怒し、これを支援する西側諸国でも同氏への反感が広がり、ロシアではマスク氏やトランプ氏を取り込んで「ウクライナとの交渉を有利に進めるべきだ」という意見まで飛び出しているが、SpaceXは「ウクライナ向けStarlinkの維持に必要なコストを国防総省が負担しなければサービスを停止する」と警告、CNNは「この要求に国防総省は図々しにも程があると激怒している(本当に怒っているのは不明)」と報じている。
Ukraine-Russia Peace:
– Redo elections of annexed regions under UN supervision. Russia leaves if that is will of the people.
– Crimea formally part of Russia, as it has been since 1783 (until Khrushchev’s mistake).
– Water supply to Crimea assured.
– Ukraine remains neutral.
— Elon Musk (@elonmusk) October 3, 2022
SpaceXは国防総省に宛てた書簡の中で「Starlinkの端末やサービスをウクライナに提供し続けるのが困難になりつつあり、毎月数千万ドルのコストを国防総省が負担しない限り、ウクライナ向けサービスを停止する可能性がある」と警告、SpaceXは慈善事業であるウクライナ向けサービスを「いつまでも無制限に維持することは出来ない」と訴えた。
SpaceXは「ウクライナに提供された約2万台の端末費用(1500ドルと2500ドルの2種類)の約85%、毎月発生する接続料金の約30%を米国やポーランドといった国や非営利組織が負担、残りを同社が負担している。ウクライナ向けの契約は最も通信速度が速く安定性に優れたプラン(月額500ドル)が大半だが、同社は最も最上位のサービス提供しているため1契約毎に毎月4,500ドルの費用が発生している」と書簡の中で訴えており、この差額を国防総省に負担して欲しいと意味だ。
既にSpaceXはウクライナ向けのサービス維持に1億ドル近い資金を失っており、ウクライナ軍が新たに要請してきた端末提供(新規に6,200台の提供+破壊される端末の補充分として毎月500台の提供)と2022年末までのサービス維持にかかる費用は合計は1.24億ドルが必要らしいが、CNNは「消費者向けモデルの端末価格は600ドルで、ウクライナ向けのプランは60ドル(以前は120ドル)とアナウンスされている。この金額で計算すると国防総省に負担して欲しいという接続料金は過剰請求だ」と指摘。
ウクライナ向けのStarlinkに詳しい関係者は「これまでの投資分を政府から回収したいと考えているか、もうウクライナ向けサービスから撤退したいと考えているのかのどちらかで、予測不可能な行動を起こすマスク氏へのウクライナ側の不満は非常に高い」と述べているが、マスク氏は「過去の投資分を回収しようとは考えていない、ただ消費者向けモデルの100倍もデータを使用する端末を新たに数千台も提供し、Starlinkへの接続を無制限で提供しろというのは余りに理不尽だ」と述べている。
Very interesting statement from @elonmusk re Ukrainian StarLink and how damaging it is for @SpaceX economics.
Being Ukrainian actually in the topic of StarLinks, I want to tell you some based facts re starlinks in Ukraine.
— Dimko Zhluktenko 🇺🇦 (@dim0kq) October 14, 2022
ウクライナへのStarlink提供に取り組む非営利組織の関係者も「我々は1回線毎に毎月60ドルの接続料金を支払っており負担額はEU諸国と同じだ」と主張しているが、CNNが計算した負担額は非交戦国で使用する場合のプランであり、SpaceXがロシア軍の妨害からStarlinkの通信を守るためのコストが含まれておらず、SpaceXがウクライナ向けサービスから撤退すれば悲劇としか言いようがない。
1契約あたり毎月4,500ドルという数字に妥当性があるのかは不明だが、少なくとも戦いの長期化に伴い「営利企業の善意に頼った支援」も見直す時期に差し掛かっているのだろう。
追記:ウクライナのミハイロ・ポドリャク大統領顧問は14日「イーロン・マスクについて否定的な感情をもつ人々も多いが、率直に言って彼は『戦争の最も重要な瞬間』を切り抜けるため私達を助けたくれた。しかも民間企業は独自の戦略をもつ権利がある。ウクライナはStarlinkが今後も使用できるよう解決策を必ず見つける」と述べた。
スターリンクに対するロシア軍の妨害、SpaceXが直ぐに対応して無効化
※アイキャッチ画像の出典:Public Domain
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