米のウクライナ支援、与野党で懐疑論浮上


バイデン政権にウクライナ政策の見直しを求めたのは、民主党の急進左派に属する下院議員30人。代表者のジャヤパル議員は書簡で24日、米国によるウクライナへの巨額の軍事・経済支援を修正し、ロシアと「現実的な停戦枠組みを模索するべきだ」と主張した。

これに対し党内やウクライナ政府から「現時点でロシアとの対話は非現実的」「侵攻を助けるだけだ」との批判が続出。ジャヤパル氏は同日、「民主党はウクライナ支援で一致している」との釈明文を発表したのに続き、25日に書簡を全面撤回した。

ジャヤパル氏は声明で、「書簡は数カ月前に起草され、精査されずに誤って送付されたものだった」と弁明したものの、今回の騒ぎが、ウクライナ支援を巡る党内の不協和音を浮き彫りにしたのは間違いない。

一方、共和党では下院トップのマッカーシー氏が18日、米メディアのインタビューで、米国が景気後退局面に入る可能性が高い中でウクライナに「白紙の小切手」を出すことはないとして、中間選挙後は支援を縮小させる考えを示した。中間選挙では、上院で民主、共和両党が拮抗(きっこう)する半面、下院は共和党が過半数を奪還する勢い。

米議会はこれまで、バイデン政権によるウクライナ支援の方針におおむね超党派で協力してきた。露軍の侵攻以降、バイデン政権が表明した軍事支援は計176億ドル(約2兆6千億円)に上る。予算の承認権限を持つ議会で支援への反対が広がれば、ウクライナ軍の対露反攻作戦や、北大西洋条約機構(NATO)をはじめとする国際社会の結束に影響するのは必至だ。

バイデン大統領は20日、遊説先の東部ペンシルベニア州で、共和党が議会の多数派を握り支援が縮小されれば深刻な結果を招くと懸念を示したが、中間選挙後は自党の急進左派を含めた支援懐疑論への対処を強いられることになる。



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