部分的動員令の受け招集されたロシア人たち(後方)に敬礼する軍関係者(手前)=ロシア南部ボルゴグラード州で2022年9月28日、ロイター
ロシアのショイグ国防相は28日、ウクライナ侵攻での兵力不足を補うために9月に始めた部分的動員を完了したことを、プーチン大統領に報告した。総動員数は当初の方針通り30万人。追加動員は予定されていないという。国営テレビが伝えた。
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ショイグ氏の報告によると、30万人のうち8万2000人が戦闘地域に派遣され、うち4万1000人が部隊に配属された。21万8000人は訓練中。平均年齢は35歳という。プーチン氏は「彼らの義務への献身や愛国心、ロシアや家族、国民を守るという確固たる決意に感謝したい」と述べた。
プーチン氏は9月下旬、部分的動員を可能にする大統領令に署名した。ウクライナ軍の反攻に苦戦する戦況の打開につなげる狙いだが、国内には動揺が広がり、国外に逃れる人々が相次いだり、各地で抗議デモが発生したりしていた。動員の終了を国民に示すことで、沈静化を図る狙いがあるとみられる。
一方、英国防省は28日、ロシア軍が「前線のほとんどの地域で長期的な防御態勢に移行している」とする分析を示した。ロシア軍の兵力が不足し、訓練も十分ではないためだという。また、ウクライナ軍が攻勢を強める南部ヘルソン州では、ロシア軍はドニエプル川西岸の部隊を動員した兵士で補強しているとみられるが、その規模は「極めて低いレベル」にとどまっていると指摘した。【ブリュッセル岩佐淳士】