北朝鮮からプレゼントされた豊山犬の子犬を抱きかかえる文在寅大統領(右、当時)と金正淑夫人=ソウルで2018年11月25日、韓国大統領府提供・ロイター
保守系の韓国紙・朝鮮日報は7日、進歩系の文在寅(ムンジェイン)前大統領が、2018年9月の南北首脳会談で北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)国務委員長からプレゼントされた豊山(プンサン)犬を「もう私邸で飼うつもりはない」と韓国政府に伝えたと報じた。
報道によると、今後の行き先が注目されることになったのは、平壌での会談後に金委員長から贈られた雄の「ソンガンイ」と雌の「コミ」、韓国でコミが産んだ子犬1頭の計3頭。文氏が退任後、慶尚南道(キョンサンナムド)梁山(ヤンサン)市の私邸で飼っていた。コミは他に6頭の子犬を産んだが、「養子縁組」の形で引き取られていた。
文氏は今年5月の退任直前、月最大250万ウォン(26万円)の「犬管理費」を受け取れるように調整。しかし、保守系の尹錫悦(ユンソンニョル)政権内で「自らの意思で飼うと言っているのに国の予算による支援がなぜ必要なのか」「文氏は猫など他の動物も育てていて、予算が転用されないとは証明できない」などの否定的な意見が出たため、犬管理費は予算執行されていないという。
韓国では大統領が受け取った贈り物は動物であっても、植物であっても「大統領記録物」とされ、国が管理するのが原則。大統領府の関係者は、3頭の今後について「大統領記録物を管理する政府の担当者が判断することになる」と述べた。
豊山犬は、北朝鮮固有の猟犬とされ、同国の天然記念物に指定されている。南北融和を最優先に掲げていた文氏は在任中、青瓦台(大統領府)で豊山犬を育てている姿をSNSなどを通じてたびたび公開していた。【ソウル坂口裕彦】