青山学院大学客員教授でキヤノングローバル戦略研究所主任研究員の峯村健司が11月10日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。中国共産党大会での胡錦濤強制退場事件の真相について解説した。
【連続写真】中国共産党大会で退席させられる胡錦濤前総書記
胡錦濤強制退場事件

第20回中国共産党大会の閉幕式で、退席する胡錦濤前総書記(中央)。左端は習近平総書記=2022年10月22日、北京の人民大会堂(共同)
飯田)習近平政権は3期目を迎えて、顔ぶれ一新という形になりました。
峯村)衝撃だったのは、第20回中国共産党大会の閉幕式で起きた「胡錦濤強制退場事件」です。中国政治の中枢、中南海をずっと取材し続けていますが、習近平政権の3期目を占う上でも、大きな事件だったと見ています。胡錦濤氏に連なる「共青団」というグループがいるのですが。
飯田)共産主義青年団。
峯村)特に日本メディアでは「習近平 VS 胡錦濤派」などと言われますが、必ずしも正しい構図とは言えません。
習近平政権のロケットスタートを支えた胡錦濤氏 ~院政を敷かず、恩人でもある
峯村)2012年に習近平氏が総書記になって、ロケットスタートで反腐敗に動き、権力を「バチッ」と固めることができた。それができたのは、胡錦濤氏がすべての権力を習氏に譲り渡し、院政も敷かず、「口出しをしない」ことを約束したからです。そういう意味では、習近平氏にとってみると胡錦濤氏は恩人の1人なわけです。
飯田)江沢民氏のように、軍のポストを譲らないようなことはなかったわけですよね。
峯村)むしろ、逆に院政をやってはいけないと。「私も降りるから、江沢民を含めたすべての長老は院政をやめる」という内規をつくって、習近平氏にフリーハンドを与えたわけです。
今年の北戴河会議のなかで胡錦濤氏が習近平氏の政権運営について批判
峯村)胡錦濤氏は習近平氏の政権運営の2期10年を陰ながら支えてきたのです。しかし、最後の最後に今年(2022年)の北戴河会議のなかで……。
飯田)長老たちとの間での。
峯村)そこで初めて、胡錦濤氏は北戴河会議の席上で、2期10年の「封印」を解くように、習近平氏の政権運営について批判したという話が確認できました。いまの経済政策やゼロコロナ政策が間違っているのではないか、という意見を出したというのが1つ。