温室効果ガス削減に高いハードル 日本は技術革新を“処方箋”に提案

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 28日に開幕する20カ国・地域(G20)首脳会議(サミット)では、気候変動やエネルギーをめぐる地球環境問題に関する対策について議論される。日本などは地球温暖化防止の国際的枠組み「パリ協定」に基づいた取り組みを進めているが、温室効果ガス排出量を実質ゼロにする「脱炭素社会」の実現に向けたハードルは高い。日本は議長国として技術革新の重要性などで合意形成を図る。

 パリ協定では、産業革命前からの気温上昇が2度を超えると被害が深刻化するとの指摘を踏まえ、「2度よりも十分下回る」目標を掲げるほか、上昇幅を1・5度に抑える努力目標も盛り込んだ。2017年に米国が脱退を表明したが、日本を含む約10カ国が協定に基づく長期戦略を提出し、温室効果ガス削減に向けた批准国の取り組みが進む。

 だが実現に向けた道のりは平坦(へいたん)ではない。温室効果ガスの排出削減には、化石燃料への依存から脱却し、再生可能エネルギーを大規模に導入することが不可欠である一方、化石燃料が担ってきた安価で安定的なエネルギーとしての役割の重要性も無視できず、「異なる価値の実現が求められている」(世耕弘成経済産業相)ためだ。

 日本は温室効果ガスの排出量を30(令和12)年度までに13(平成25)年度比で26%削減するとした上で、現状で約8割を占める火力発電を56%まで抑え、原子力発電を20~22%、再生エネを現在の22~24%とする目標を掲げる。だが原発にへの厳しい世論もあり、国内36基の原発のうち再稼働は9基にとどまっている。

 化石燃料から再生エネへの転換も課題が多い。太陽光や風力発電などは天候で発電量が左右されやすく、主力電源化には調整電源の確保が必要だ。だが石油や天然ガスによる火力発電が調整電源になると設備利用率が落ち、投資資金を回収できない可能性がある。

 海外でもフランスやドイツが30年に1990年比でそれぞれ40%、55%の温室効果ガス削減を目指すが、フランスは再生エネ比率の伸び悩み、ドイツは脱原発による化石燃料への依存から、目標到達のペースで進(しん)捗(ちょく)していない。

 大和証券エクイティ調査部の大澤秀一シニアストラテジストは「野心的な目標を掲げた結果、再エネ導入コストが国民負担として跳ね返り、理解が得られなくなっている」と指摘する。

 日本はG20サミットで、先進国と新興国などが歩調を合わせて取り組める「処方箋」として水素の活用や二酸化炭素(CO2)の回収・再利用などの技術革新や、民間資金の誘導のための国際協調を提案する見通しだ。ただ、パリ協定に関する言及をめぐって欧州と米国などとの間で調整が難航する可能性も残されている。(佐久間修志)

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