中国の習近平指導部が日本への接近を図るのは、トランプ米政権の対中封じ込め政策に対抗し、「反保護主義」を旗印に米国から通商圧力を受ける周辺国を中国側に取り込むためだ。ただ、関係改善のかけ声が先行する中で、東シナ海問題など日中間に横たわる具体的な課題の解決に向けた道筋は見えていない。
中国は20カ国・地域(G20)首脳会議(サミット)の全体会議で米国との対決色は控えるとみられるが、個別の首脳会談では米国を念頭に「一国主義」「保護主義」に反対する声の結集を図る。「中国外交は、日本など周辺国との関係を米国がどのように見るかを優先的に考えている」と日中外交筋は指摘する。
米国が、中国の政治体制に焦点を当てて国際社会で封じ込めを図っているのに対し、中国は先進国との間でハイテク技術などの経済的な結びつきを強めようとしている。通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)の製品が米国の要求通りに日本などで排除されるかどうかは、中国のこうした戦略の分水嶺(ぶんすいれい)となる。