今年11月、「週刊新潮」が報じた東海テレビ放送(名古屋市)の小島浩資会長(67)による女性従業員へのセクハラ問題は、12月24日、同氏の辞任という形で一つの節目を迎えました。これは、フジテレビ系列の放送業界で相次ぐハラスメント疑惑に、新たな波紋を広げるものです。東海テレビは外部有識者を含む調査委員会を設置し、その調査結果を受けて、小島会長の「行動自体が極めて不適切だった」と指摘。業界全体に蔓延する「フジ的体質」が改めて浮き彫りになりました。
「フジ的体質」を受け継ぐ系列トップ:小島会長の「不適切な行動」
昨年末に中居正広氏による性加害騒動が明らかになって以来、今年1月にはフジテレビの嘉納修治会長(75)と港浩一社長(73)、4月には元フジ専務で関西テレビの大多亮社長(67)が相次いで辞任するなど、放送業界ではハラスメント問題が深刻化しています。その渦中で、「フジ的体質をいまも受け継ぐ系列トップ」としてグループ社員の間では有名だったという東海テレビの小島会長の「セクハラ疑惑」が浮上しました。
「週刊新潮」の取材によって明らかになった小島会長の従業員に対する信じ難い問題行動は、ついに同氏を辞任へと追い込みました。東海テレビの12月24日の報道によれば、弁護士を含む調査委員会は、「週刊新潮」が報じた小島浩資会長と元派遣社員との会食などについて、セクハラに当たる言動があったとは言えないとしつつも、「行動それ自体が極めて不適切だった」と指摘しています。では、この突然の辞任劇の引き金となった「極めて不適切な行動」とはどのようなものだったのでしょうか。「週刊新潮」の報道を改めて振り返ります。
小島会長が女性従業員にキスを迫る「乱痴気騒ぎ」の様子
看板女子アナを「接待要員」に動員:渦中の会食と余波
フジテレビの問題では、女性アナウンサーを接待に動員していた実態が明らかになり、その波紋は系列局にも広がりました。今年1月、東海テレビも自局アナウンサーを対象にハラスメント調査を実施。その結果、「上司の指示でアナウンサーが会合に出席する」といった事案はなかったと公表しました。
しかし、同社OBの証言からは、異なる実態が浮かび上がっています。OBによれば、小島会長は「得意先の要望には何でも応えることから、“営業マンの鑑(かがみ)”とも評されていました」。社長就任以降も自ら音頭を取り、取引先などとの会食を年に数回開いていましたが、中には“不適切だ”と指摘されたものもあったといいます。
その一つが2022年春に開かれた会食です。東海テレビのスポンサーの一つである自動車関連企業のA社のトップが女子アナBのファンだと、小島会長の耳に入ったことがすべての始まりでした。Bアナは年配者を中心に根強い人気を誇る、同局の看板アナの一人です。
後日、小島会長の号令の下、「女性社員の交流」を名目とする東海テレビとA社の飲み会がセッティングされました。前出の東海テレビOBは、「両社から複数の女性社員が参加しましたが、本来なら局側からは広告やスポーツ事業を担当する女性社員が顔を出せば済む話。しかし小島さんが声をかけ、Bも参加することになった」と語っています。この会を機にA社トップとBアナは連絡先を交換することになり、以降、「“いまから飲みに行こう”などと誘いの連絡が来るようになった」といいます。しばらくして、Bアナが「“最近、よく誘われるんだよね”と困った様子でこぼす姿が目にされました」。
結び
東海テレビの小島会長辞任は、放送業界におけるハラスメント問題の根深さを改めて浮き彫りにしました。調査委員会が「セクハラに当たる言動があったとは言えない」としつつも、「行動自体が極めて不適切だった」と指摘したことは、形式的な法規制だけでなく、企業倫理や従業員の尊厳に対する意識改革の必要性を示唆しています。視聴者からの信頼を失墜させないためにも、業界全体で透明性の確保と健全な職場環境の構築に向けた、より一層の努力が求められています。
Source: 週刊新潮、Yahoo!ニュース





