![中国「海外警察」、民主活動家にナイフちらつかせ「殺すぞ」…携帯に着信100回超 中国「海外警察」、民主活動家にナイフちらつかせ「殺すぞ」…携帯に着信100回超](https://jp24h.com/wp-content/uploads/2022/12/20221218-00050128-yom-000-2-view.jpg)
オランダ西部ロッテルダムの住宅地にある中国の「海外警察」とされるアパートの一室(左側ドア)(11月21日、酒井圭吾撮影)
中国政府が、海外で中国人民主活動家らを監視するための「海外警察」を設置しているとスペインのNGO「セーフガード・ディフェンダーズ」が告発し、波紋を呼んでいる。同団体の調査では、その数は日本を含む53か国の102か所に上る。「海外警察」を名乗る人物から脅迫を受けたという中国人男性が、その活動の一端を証言した。
オランダ・ハーグで、中国の民主化・人権擁護運動に関してSNSで発信を続ける王靖渝さん(21)。今年2月以降、見知らぬ中国人から携帯電話への着信が相次いでいる。相手はロッテルダムの「海外警察」を自称する複数の男だ。
王さんは中国国内で、中国軍とインド軍の衝突に関する中国当局の対応に疑義を呈し、香港の反政府抗議運動への支持を表明した。国内での異論に対する封殺が進むにつれて身の危険を感じ、各国を転々とした末にハーグに身を寄せた。中国に残してきた両親は「拘束された」という。
男の電話に出ると、「親のことはどうでもいいのか」「悪いようにはしない」と帰国を促された。着信は100回を超え、対面で説得されたこともあった。ハーグ中央駅前でナイフをちらつかされ、「殺すぞ」と小声で脅されたこともあった。オランダ警察に相談し、11月には脅迫の現行犯で1人が逮捕されたが、今も「着信は続いている」という。
セーフガードの調査が示す中国の「海外警察」は、いずれも大使館や領事館とは別に設置されているとされる。ウィーン条約では、他国で行政行為を行えるのは在外公館だとしており、違法にあたる。中国外務省の報道官は先月2日、「海外警察」の指摘について、警察活動を行っていることは否定した上で「在外中国人の運転免許更新のサポートをオンラインで行っている拠点だ」と説明した。
ただ、セーフガードは、実態は「国境を越えた抑圧の手段だ」と断じる。セルビアとスペインで、王さんのように脅迫を受けた末、政治亡命状態だったのに、帰国を余儀なくされた中国人2人の実例も挙げている。(ハーグ 酒井圭吾)