欧米がウクライナに約束した戦車提供、少数過ぎて作戦部隊に組み込むのが困難

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欧米諸国は計321輌の戦車を提供するとウクライナに約束したが、Times紙は「ロシアの春攻勢に間に合うのは1/4以下だ」と報じており、この問題についてショルツ首相は「我々に行動するよう要求した人々に問わなければならない」と述べている。

この壮大な計画について欧州ある政府高官は「こんな少数の戦車を作戦部隊に組み込むのは困難で理論的にでたらめだ」と述べている

NATO加盟国は「ドイツはレオパルト2のウクライナ移転を承認すべきだ」と迫り、少なくない加盟国が提供に関する合意が形成されれば「レオパルト2を提供してもよい」と主張もしくは示唆、米国がエイブラムスの提供に応じたためドイツも自国製戦車の提供や移転を容認、レオパルト2のウクライナ提供に賛同する10ヶ国を集めて連合体を組織して「4月頃までに40輌編成の戦車大隊を2個引き渡す」と発表していた。

欧米がウクライナに約束した戦車提供、少数過ぎて作戦部隊に組み込むのが困難

出典:Krauss-Maffei Wegmann GmbH & Co. KG

さらにドイツ、オランダ、デンマークの3ヶ国は178輌のレオパルド1A5(保管中)を改修し提供することで合意、ここに英国(チャレンジャー2)、米国(エイブラムス)、スウェーデン(Stridsvagn122)などが約束した戦車を加えると計321輌になり、最低でもドイツ主導(A6戦車大隊)とポーランド主導(A4戦車大隊)が春攻勢に間に合うと予想されていたが、4月上旬までにウクライナに到着するのは50輌(A6×17輌とA4×33輌)と推定され「戦いに大きな影響を与えるには数が少なすぎる」と懸念が高まっている。

戦車提供で散々批判されたドイツは現在の状況に不満を隠しておらず、ベアボック外相は「この種の戦車を提供できる国は直ぐ行動すべきだ」と、ピストリウス国防相は「控えめに言っても戦車提供に対する各国の反応や協力は想定より小さい」と、ショルツ首相も「これは我々に行動するよう要求した人々に問わなければならない質の問題だ」と吐き捨ており、ラトビアのリンケビクス外相も同盟国に対して「手持ちの全てをウクライナに与えてしまうのは止そうという考えをやめるべきだ。兎に角できるだけ早く戦車を届けるため出来ることは何でもして欲しい」と訴えているのが興味深い。

欧米がウクライナに約束した戦車提供、少数過ぎて作戦部隊に組み込むのが困難

出典:Gov.pl/CC BY 3.0pl レオパルト2PL

リンケビクス外相は「多くの人々は本戦争の本質を表面的にしか理解しておらず、西側諸国はロシアとの長く過酷な戦いに備えなければならないと主張し、ウクライナ支援の規模をどんどん広げているが、武器や弾薬の生産能力が需要に追いついていない。戦場のニーズを満たすためロシアの工場は3交代制だが欧米の工場は未だに1交代制で動いており、この差を埋めなければ戦時体制に移行したロシアには到底追いつけない。我が国でも全てをウクライナに与えるのではなく『何かを残しておこう』という考え方があるが、これを克服して出来ることを全てやるべきだ」と主張している。

要するに40輌編成の戦車大隊2個を編成するに手こずっているのは、運用可能な戦車を提供する国(ドイツやポルトガルなど)、運用から外れた保管状態の戦車を提供する国(ポーランドやスペインなど)、提供を検討すると言って実行に移していない国(スウェーデン)、提供そのものを拒否する国(ギリシャ、スロバキア、デンマーク)に分かれ、レオパルト2A4やレオパルド1A5のオーバーホールも平時体制で行っているため「時間がかかる」という意味で、この壮大な計画について欧州ある政府高官は「こんな少数の戦車を作戦部隊に組み込むのは困難で理論的にでたらめだ」と言っているらしい。

欧米がウクライナに約束した戦車提供、少数過ぎて作戦部隊に組み込むのが困難

出典:Генеральний штаб ЗСУ

因みにウクライナへ提供した西側制兵器は官僚的な争いにも巻き込まれている。

ウクライナ西部と国境を接するスロバキアのミハロフツェ市(国境から約20km)にはドイツ資本で開設された整備拠点があり、ここでウクライナ軍に提供したPzH2000、MLRS、ゲパルトなどの保守を行うつもりだったのだが、国境を越えて持ち込まれる武器は手続き上「輸入品」に分類され、この整備拠点を運営する会社が関税手続きを怠ったためドイツとスロバキアの間で問題になり「保守が必要な武器を全てポーランド経由でドイツ本国の整備拠点に持ち帰っている(ドイツ政府が問題解決のため措置を講じたと報じられているが問題が解消したのかは不明)」とTimes紙は報じている。

欧米がウクライナに約束した戦車提供、少数過ぎて作戦部隊に組み込むのが困難

出典:Генеральний штаб ЗСУ

つまり東部前線でウクライナ軍の手に負えない故障やメンテナンスが必要になると約1,000km離れたミハロフツェ市に運びこむ予定だったのだが、1,700km以上も離れたドイツまで運んで整備を受けているという意味で本当に笑えない。

追記:以前の記事で戦車大隊の定数を31輌と書いたが「この数字はウクライナ陸軍の標準的な戦車大隊の定数」で、ドイツとポーランドが編成する戦車大隊は40輌編成になるらしい。

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※アイキャッチ画像の出典:Photo by Gertrud Zach デンマーク陸軍のStridsvagn 122

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