【令和の戦い】新潟選挙区 「忖度」対「落下傘女性」

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有権者に支持を求め握手する塚田一郎参院議員=新潟県上越市(沢田大典撮影)
有権者に支持を求め握手する塚田一郎参院議員=新潟県上越市(沢田大典撮影)

 6月29日、新潟県上越市の屋内イベント会場で、参院選新潟選挙区(改選数1)に自民党公認で出馬する元国土交通副大臣の現職、塚田一郎が約450人を前にマイクを握った。

 「私事でこの度、大変皆さまにご心配、ご迷惑をおかけする事態に至ったことを、まずもっておわび申し上げます」

 塚田はこう語り、深々と頭を下げた。

■1議席争う戦い

 塚田は4月、山口県下関市と北九州市を結ぶ道路整備に関し、首相の安倍晋三や副総理兼財務相の麻生太郎への「忖度(そんたく)」などと発言した責任を取り、辞任した。塚田は丸刈りになり、県内100を超える支部のほとんどに「謝罪行脚」をし、信頼回復に努めた。

 塚田は野党統一候補として無所属で出馬する打越さく良(ら)と対決する。自民県連幹部は「情勢は極めて厳しい。『老後資金2千万円』問題よりも、圧倒的に発言のダメージが大きい」と苦悩を深める。

 自民内では、3期目を目指す塚田が、これまで改選数2で与野党が議席を分け合う「楽な選挙しかしていない」(幹部)との懸念も強い。今回、塚田が初めて1議席を争う戦いに臨むこともあり、政府・与党は総力戦の構えをみせる・塚田が所属する麻生派(志公会)は新潟を最重点区と位置づけている。

 6月26日には安倍に近い新潟県出身のジャーナリスト、櫻井よしこが新潟市に応援に入った。櫻井は安倍から電話で「塚田君をどうにかしてやって。彼は真面目だから、本当にしょんぼりしてどうしようもない。景気づけてあげてほしい」と要請されたと明かした。

 さらに、塚田が北朝鮮による拉致被害者の横田めぐみさん=拉致当時(13)=の中学校の1年先輩で、参院議員になる前から問題解決に向けて活動してきたことを挙げ「立派な政治家だ」と持ち上げた。塚田は「これからが拉致問題の正念場だ。この仕事をやり遂げるまで、働く機会を与えてほしい」と涙声で訴えた。

 同じ会合に出席した県知事の花角英世は「国を動かすのに県選出の国会議員が大変重要だ」などと述べ、「与党候補」の塚田の立場を強調した。

■なぜ新潟なのか

 新潟では最近、全国的にも注目の選挙が相次いだ。改選数が2から1に減った平成28年7月の前回参院選で自民現職が落選し、同年10月の知事選も与党系候補が敗れた。自民が大勝した29年10月の衆院選でさえ、県内6選挙区で制したのは2つだけ。30年6月の知事選で花角が勝ち、「負の連鎖」を断ち切ったと思ったところで飛び出したのが忖度発言だった。野党側には格好の批判材料だ。

 「なぜ立候補する決意をしたのか。今の私たちの方を向いていない政権に対する怒りと、それでもなお民主主義を諦めたくないとの思いからです」

 6月9日、打越は買い物客らでにぎわう日曜日の新潟市中心部の一角でこう訴えた。打越は女性弁護士として取り組む貧困問題などを中心に5分間、演説したが、「もっと豊かだったはずの新潟を取り戻したい」と訴えた以外、新潟への具体的な言及はほとんどなかった。42年前、打越の立った場所から2キロ離れた場所で拉致された少女に触れることもなかった。

 北海道出身の打越は東京の大学を出て東京で弁護士となり、5月に参院選への出馬を表明した。新潟出身の塚田とは異なり、縁もゆかりもない典型的な「落下傘」だ。

 応援に駆けつけた立憲民主党代表の枝野幸男は記者団に「新潟のために一番役に立つ議員になると確信している」と持ち上げたが、演説を聴いていた団体職員の男性(56)は「結局、なぜ彼女が新潟で出るのか、よく分からない」と語った。「忖度」と「落下傘」のどちらに軍配が上がるのか。=敬称略

(沢田大典)

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