寺島しのぶ(右)と長男の尾上眞秀(C)共同通信社
女優・寺島しのぶ(50)の長男、初代尾上眞秀(10)が、5月2日に初日を迎えた東京・歌舞伎座の公演「團菊祭五月大歌舞伎」の昼の部「音菊眞秀若武者」で初舞台を踏んだ。眞秀のデビューは、寺島の悲願といわれた。
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「名門、音羽屋に生まれながらも男子でなかったため、歌舞伎役者になれないことを幼い時に悟ったしのぶは、その後女優として活路を見出しましたが、一人息子を歌舞伎役者へという思いは非常に強かった。初日前夜は眠れず、拍手が起こった時には涙があふれたと話すほどでした」(スポーツ紙記者)
寺島は人間国宝の父、七代目尾上菊五郎(80)と女優・富司純子(77)の長女として生まれたが、《(歌舞伎の舞台に)立ちたかったですね。5歳下の弟が立てて、私はなぜ観客として見なきゃいけないのかという》と、ことあるごとに歌舞伎役者になれない悔しさを語っている。
寺島自身は、初主演映画「赤目四十八瀧心中未遂」(2003年)での演技が評価され、その後、個性派女優としての地位を確立。だが、寺島の歌舞伎への執念が消えることなく、それが今、ようやく実を結ぼうとしている。
07年にフランス人のローラン・グナシア氏と結婚。12年に、眞秀が誕生。コロナ禍でダメージを受けた業界では、日仏ハーフの歌舞伎役者の誕生にいやがおうでも期待が高まっている。
■長男と甥が“菊五郎襲名”を巡るライバル関係に
一方では、眞秀と同じ年頃の長男・丑之助(9)のいる寺島の弟、菊之助(45)のトラブルが報じられた。
「女性セブン」(2023年5月11・18日号)によると、4月上旬、一門の尾上音三郎(50)による丑之助への厳しいしつけに菊之助が声を荒げ、音三郎が引退する事態に発展したという。音三郎は菊五郎、菊之助につかえたベテランの役者だ。
「おしろいの塗り方、着物の着方を厳しめに注意したといいます。一人前の役者にするために先輩役者が厳しめに助言、指導することは別におかしなことではありませんが、それが菊之助に伝わり、自宅に呼び出され謝罪を要求されたという音三郎は、それに反発したといいます。菊之助が企画、構成、演出した『新作歌舞伎 ファイナルファンタジーX』の翌日以降の公演を降板。引退する事態になり騒然となっています」(舞台関係者)
菊之助には今、既定路線となっている菊五郎襲名のほかにもさまざまな重圧があり、その影響を指摘する声もある。
「自身の襲名もそうですが、13年に亡くなった義理の父、中村吉右衛門さん(享年77)も重要無形文化財保持者で人間国宝。丑之助は音羽屋だけでなく、吉右衛門さんの播磨屋としても期待のかかる役者です。今後、一門を率いていくだけでなく、丑之助を立派な役者に育てなくてはならない責任も菊之助は背負っていることになります」(前出・スポーツ紙記者)
そんな中、甥の眞秀にスポットライトが当たることは、一門繁栄のためには喜ばしいことである一方で、プレッシャーになっているのではと察する声もある。
「2月の眞秀の襲名記者会見には多くの記者がかけつけ、『全然緊張していない』と話した大物ぶりがクローズアップされました。眞秀の初舞台には、多くの外国人客もつめかけ、シャネルのサポートで製作された祝幕が舞台を彩るなど、今後、海外へのアピールに眞秀が大きな役割を果たすのは間違いないでしょう。さらに、菊五郎は襲名について『実力がある役者が菊五郎を襲名していってくれればいい』と公言しています。この発言は、眞秀の菊五郎襲名の可能性に含みを持たせたと捉えられています。弟への遠慮も当然あるでしょうが、自身が歌舞伎役者になれなかった上に、本来目がなかった眞秀の菊五郎襲名に光が差したことで、しのぶの本音としては是が非でも実現させたいのではないでしょうか」(前出・スポーツ紙記者)
新しいスターの誕生は、今後、業界や一門にどんな影響を与えるのか。