殺人容疑で逮捕の中学教諭「2月にも家に入った」　東京・江戸川

送検のため警視庁小松川署を出る尾本幸祐容疑者＝東京都江戸川区で2023年5月11日午後0時1分、手塚耕一郎撮影

　東京都江戸川区の住宅で契約社員の山岸正文さん（当時63歳）が2月に殺害された事件で、殺人容疑で逮捕された区立中学校教諭、尾本幸祐容疑者（36）＝江東区大島8＝が、逮捕前の任意の事情聴取に「2月にも声をかけられ、（山岸さんの）家に入った」などと、住宅を少なくとも2回訪れたことがあるという趣旨の説明をしていたことが、捜査関係者への取材で判明した。一方で尾本容疑者の説明以外には2人に接点があったことが確認できていないといい、警視庁捜査1課は事実関係を慎重に捜査している。

【地図】現場と容疑者の勤務先中学校

　捜査関係者によると、尾本容疑者は任意の事情聴取で、山岸さん宅を最初に訪れた際の様子について「1月下旬に（山岸さんの）家の近くを通りかかった際に、男性に『荷物を運ぶのを手伝ってほしい』と頼まれて家に入った」などと説明。さらに「2月にも『荷物を運んでくれたお礼がしたい』と声をかけられ、家に連れて行かれた」と話したという。

　また、2月に訪れた際の様子について「鼻血が出たので、汚れたマスクを男性に渡した」「だて眼鏡を忘れた」などとも説明。尾本容疑者の関係先からは、こうした内容をまとめたメモも見つかったという。

　ただ、1月下旬に訪問したとする説明で「（山岸さんに）『土足でいい』と言われ、土足のまま1階から3階まで荷物を運んだ」とするなど不自然な点もあり、捜査1課は尾本容疑者が事件への関与を隠すために虚偽の説明をした可能性もあるとみている。

　尾本容疑者は10日に逮捕された際に「事件には関わっていません」と容疑を否認していたが、その後黙秘に転じたという。【木原真希、岩崎歩、菅健吾】