「5・16共同行動」集会
16日、東京一帯で開かれた福島汚染水海洋投機反対「5・16共同行動」集会の参加者たちが街頭を行進している
16日、東京で開かれた「5・16共同行動」集会に参加した韓国の参加団が福島汚染水海洋投棄に反対するプラカードを広げている
「脱核市民行動参加団」の韓国YWCA連合会の活動家、ユ・エステルさんが16日午前、東京電力前の集会で発言している
16日、東京の国会前集会で環境運動連合の活動家、チェ・ギョンスクさんが発言している
「福島県民の7割はもちろん、すぐ隣の宮城県民も反対しています。(原発)汚染水を海洋放出するという日本政府の決定によって地域社会が破壊されています」
「放射性汚染水の放出はアジア各国に対する暴力であり侵略です」
19日から広島で開かれる主要7カ国首脳会議(G7サミット)を控え、16日、東京の街では一日中福島原発汚染水の海洋投棄を中止せよという叫びが鳴り響いた。「これ以上海を汚すな!市民会議」と「さよなら原発1000万人アクション」実行委員会が主催した同日の「5・16共同行動」集会は午前10時に始まり夕方まで続いた。
韓国の市民社会環境団体の連帯体「脱核市民行動」所属の「緑色連合」、「市民放射能監視センター」、韓国YWCA連合会の活動家たちは汚染水の海洋投棄に反対する韓国の声を伝え日本の市民と連帯するため、東京の集会に参加した。
午前、東京電力前の集会では福島住民を含め100人以上の市民が集まった。参加者たちは「今後30年間、大量の放射性物質を海に流すつもりなのか。東電は考え直すべきだ」と訴えた。韓国YWCA連合会の活動家、ユ・エステルさんは「韓国市民社会の声、特に女性たちの連帯の声を伝えるために来た」とし、「海洋生態系と海と共に生きる人々、私たちよりもさらに長く海と共に生きていく子どもたちのために行動を共にする」と語った。
日本の市民は同日の集会で「海を汚すな」、「未来を守れ」と声を高めた。原発汚染水問題は福島原発事故が現在進行中であることを示す代表的な問題だ。参加者たちは東京電力本社前で事前集会を行ってから、国会周辺で集会を続けた。
国会前で開かれた2次集会で、ある水俣病(メチル水銀中毒によって生じる日本の公害病の一つ)の被害者は、健康と安全問題について決して軽く考えてはならないとし、幼いころの苦しい被害事実について証言した。彼は「環境にどのような影響を及ぼすか分からないため、絶対に汚染水を海に捨ててはならない」と語った。
環境運動連合の活動家、チェ・ギョンスクさんも演壇に上がった。チェさんは「汚染水の海洋投棄に反対する市民がこれほど多く、特に福島住民も明確に反対しているのに、日本政府はこのすべての意見を無視して海洋投棄を進めている。明らかな国家暴力だと思う」と主張した。また「これに対する反対意見を明確にせず、視察団の派遣という形だけの措置で日本政府に海洋放出の名目作りを手助けしようとする韓国政府もやはり国家暴力の共犯」だと批判した。さらに「今回のG7サミットで韓日両首脳は汚染水の海洋投棄の代わりに陸上での長期保管に合意し、老朽化した原子力発電所の寿命延長を諦めるべきだ。それが未来のために必要なことだ」と主張した。
宗教団体「日本山妙法寺」の宗教者は、同集会に参加した理由を尋ねる質問に、普段あまり声をあげない方だが意を決して集会に参加したとし、「(汚染水の海洋投棄は)アジア各国に対する暴力であり、戦争や侵略同様のもの。韓国社会との連帯を通じて共に協力し対応していかなければならない。今日がその始まりだ」と語った。
国会議員会館前で開かれた3回目の集会では、汚染水をはじめ福島原発事故による様々な被害状況に対する証言が続いた。
最近、福島原発汚染水問題を話し合うために韓国の済州(チェジュ)、麗水(ヨス)などを訪問したと紹介した日本の環境団体「原子力資料情報室」の伴英幸代表は「日本政府は汚染水を解決するための4つの代案を持っていた。なぜ他の代案を選ばなかったのか」と指摘した。ある日本の政治家は「(原発再稼働のために日本政府が)汚染水問題を解決したと宣言するために、汚染水の海洋放出を強行していると思う」と主張した。
集会に参加したある日本の政治家は、現在の日本の国会の状況について「数年前には原発を減らすと言っていたが、今はその反対に向かっている」とし、全原発の再稼働を目指す日本政府を批判した。さらに「福島原発一号機の原子炉の床が崩壊していることが新たに明らかになっている」とし、「今も続く福島原発事故の被害を防ぐために、汚染水だけでなく(福島原発も)チェルノブイリのようにコンクリートで封鎖する必要がある」と述べた。
ある市民は福島原発事故の除染で出た除染土を再利用する実証施設を新宿公園内に建設しようとする計画を聞いて参加したと言い、「東京だけでなく、いかなるところでも除染土の再利用の実証を行ってはならない」と話した。また、「福島住民の苦しみを我々の問題として受け止めなければならないことを改めて痛感した」と強調した。
主催側は4つの事項が盛り込まれた要請書を国会と政府側に渡した。
第一に、「(福島の漁業)関係者の理解なしに如何なる処分(海洋放出)もしない」とした日本政府が約束を履行すること、第二に、国会と政府は東京電力が汚染水の中に含まれている放射性核種の種類や濃度、総量などの情報を公開するよう働きかけ、放射線影響評価を見直すこと、第三に、日本政府は汚染水の海洋投棄ではなく大型タンクの長期保管やモルタル固体化などの代案を検討するなど、汚染水に対する根本的な対策を確立し、国会はこれを監視すること、第四に、汚染水の海洋投棄に対する全国的な公聴会と説明会を開くことなどが要請書に盛り込まれた。
集会は夕方、日比谷公園野外音楽堂で終わったが、終了直前には参加者が500人以上に増えた。本集会では野党国会議員と日本の市民団体の活動家たちの発言が続いた。 「これ以上海を汚すな!市民会議」の織田千代共同代表は「原発事故以後、福島住民たちは放射能に脅かされながら暮らしてきた。私たちは事故前に享受していた日常生活をすべて失った。汚染水の海洋放出は福島住民にさらなる放射線被害を与えるだろう」と語った。
福島県小名浜地域の漁業協同組合の柳井孝之さんは、「日本政府と東電に対する不信感がむしろ市民の不安を募らせている。海洋放出が進むと、漁業を諦める人がさらに増えるかもしれない」とし、日本政府と東京電力の責任ある姿勢を求めた。
「Don’t Nuke the Pacific(太平洋を核で苦しめるな)」
同日の集会参加者のプラカードにはこう書かれていた。世界は海につながっている。放射能汚染水を海に捨てるのは世界市民にかかわることだ。世界で唯一原爆を落とされた過去を持つ日本は、いま世界の海に向かって静かに、ゆっくりと核攻撃を加えていることになる。汚染水の海洋放出を決めた日本政府、これを傍観して黙認し、視察団の訪問という名ばかりの措置を進めている韓国政府、そして無責任な両国の政治家に立ち向かう韓国と日本、世界市民の連帯が必要な理由だ。
東京/文・写真「5・16共同行動」脱核市民行動への韓国人参加者 ビョン・インヒ、オ・ハラ、ユ・エステル、チェ・ギョンスク(お問い合わせ japan@hani.co.kr )