F-35のエンジン問題、米国防総省は最大380億ドルを追加負担する可能性

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米政府説明責任局(GAO)は30日「国防総省はF-35の冷却要件とエンジン設計が一致しないのを知りながら開発を進めたため、米軍は追加のオーバーホールに380億ドル=約5.3兆円を負担する可能性がある」と指摘している。

PTMSの要求要件とF135の設計が不一致なのは、国防総省が提案された設計を完全に理解しないまま計画を進めたのが原因

米政府説明責任局(GAO)は30日、最新のF-35プログラムに関する報告書を公開して「国防総省はシステム全体の冷却要件とブリードエアを供給するエンジン設計が一致していない事を知りながら開発を進めたため、エンジンのオーバーホールは2,000時間毎から1,600時間毎に早まり、この影響で米軍は追加のオーバーホールに380億ドル=約5.3兆円を負担する可能性がある」と指摘、この問題は同盟国が運用するF-35にも大きな影響を及ぼす話だ。

F-35のエンジン問題、米国防総省は最大380億ドルを追加負担する可能性

出典:P&W F135

国防総省はF-35の電力・冷却システム(Power and Thermal Management System/PTMS)に15kwの冷却能力を要求、P&Wは要求された冷却能力を満たすためPTMSに供給するブリードエアを確保したF135を完成させたが、ロッキード・マーティンは「PTMSがF-35のサブシステムを冷却するにはブリードエアの抜き取り量を増やす必要がある」と気づいて2013年にF135の設計変更を要求。

国防総省はF135の設計変更にかかるコスト負担とスケジュールへの影響を検討した結果「もはや変更を行うには手遅れ」と判断、ブリードエアの抜き取り量を増やすことで推力が設計値より小さくなり、これを高温運転でカバーするため「エンジンの摩耗が設計値よりも早くなりメンテナンスコストが増加する」と理解した上で計画を続行したのだが、どんどん追加される新機能に対応するためPTMSの冷却能力は初期要求の2倍(15kw→30km)に到達し、F135のオーバーホールサイクルは2,000時間毎から1,600時間毎に減少。

F-35のエンジン問題、米国防総省は最大380億ドルを追加負担する可能性

出典:U.S. Air Force photo by Brian G. Rhodes

Block4が要求するPTMSの冷却能力は47kwなので、もうブリードエアの抜き取り量を増やして高温運転でカバーするのは難しく、空軍は次世代エンジンのAETPに移行するか、F135のエンジンコアをアップグレードするF135EEPに変更するか検討を行い、最もコストとリスクが低いF135EEPを採用することで「オーバーホールにかかる追加負担(380億ドル)の影響を最小限に抑えることができる」と主張しているが、GAOは「まだF135EEPや改良されたPTMSの設計は初期段階に過ぎない」と指摘している。

GAOはPTMSの要求要件とF135の設計が不一致なのは「国防総省が提案された設計を完全に理解しないまま計画を進めたのが原因だ」と批判しており、F135EEPへの移行も2032年頃の話なのでBlock4は当面F135で作動することが濃厚で、ブリードエアの抜き取り量がさらに増加してF-35の基本的な飛行性能とメンテナンスコストを直撃するだろう。

因みに380億ドルは米軍が負担する可能性のあるコストなので、同盟国が追加負担するかもしれないコストは含まれていない。

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※アイキャッチ画像の出典:U.S. Army photo by Daniel Malta

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