韓国防衛産業の強み、互換性、生産力、現地生産、交渉力、政府の後押し

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ロイターは躍進を続ける韓国防衛産業について「長いあいだ実力を過小評価してきた」と、豪メディアも「無名だったKAIを始めとする韓国企業が10年で国際的な競争力をもつようになったのは本当に驚くべきことだ」と報じているのが興味深い。

非常に面白いところは欧州に進出してきた韓国企業と対立していくのか、共存していくのかは対応が別れている点

NATOの主要加盟国であるポーランドとの武器取引にはK2、K9、FA-50、Chunmooが含まれ、ロイターは両国の取引に直接関わった者を含む13人の関係者に取材を行い「これは国際的な武器取引の中でも際立った成功例で、韓国企業が提供する装備はNATOとの互換性が確保されている上、これを競合よりも安価で短期間に納品でき、国内発注を再調整して輸出向けの生産スペースを確保したり、短期間で生産能力を拡張することができる点が強みだ」と指摘、ある欧州の関係者も「我々なら交渉をまとめるのに何年もかかるが、これを韓国は数週間から数ヶ月でまとめてしまう」と述べている。

韓国防衛産業の強み、互換性、生産力、現地生産、交渉力、政府の後押し

出典:16 Dywizja Zmechanizowana

ハンファの工場では6台の溶接ロボットと150人以上の労働者がK9の生産を担当、同社は最近の需要増に対応するため50人程度の増員と生産ラインの増設を予定しているが、生産能力の拡張自体は溶接作業の70%以上を担うロボットが鍵を握っており、ロイターに対して「現在の稼働時間は1日8時間程度だが必要なら24時間の稼働も可能で、基本的にはどんな発注にも柔軟に応えることができる」と強調しているのが興味深い。

ポーランド政府の関係者も「韓国が競合よりも早く装備を提供できると提案したことは重要な考慮事項だった」と明かし、実際に韓国は契約締結から8ヶ月間でK2を21輌、K9を36輌を届けており、ポーランド国際問題研究所の研究員も「ハンガリーは2018年に発注したレオパルト2A7+を1輌も受け取っておらず、ドイツの限られた生産能力を考えると韓国の提案に対する各国の関心は高まる一方だ」と指摘しているが、韓国にとってもポーランドとの取引は本格的な欧州進出に向けた足がかりという認識だ。

韓国防衛産業の強み、互換性、生産力、現地生産、交渉力、政府の後押し

出典:16 Dywizja Zmechanizowana

韓国政府の関係者はロイターに対して「欧州の潜在的な顧客に売り込みやすくするため、ポーランドには韓国製装備を現地で生産するよう提案した」と、国防部の関係者も「韓国政府は軍事外交と防衛協力を推し進め、我々から装備を購入してくれた国との関係を『単なる売り手と買い手の関係を越えるパートナーシップ」に発展できよう務めている」と述べており、AUSA2022で米ディフェンスメディアの取材に応じた韓国の関係者も「ただ武器を売ってお終いというのは協力範囲が非常に狭く、我々は武器販売を通じて製造方法やメンテンスに必要な知識を購入国と共有したい」と語っていたことがある。

冷戦時代の武器取引は供給国が限られていたため「売り手」と「買い手」の枠を越えることはなかったが、冷戦終結後の武器取引は大幅な需要減に直面し、ただの買い手だった顧客は自立に向けてオフセット契約による技術移転や現地生産を要求することが多くなったが、依然として米国だけは購入国への技術移転に消極的(それでも昔に比べればオフセットに寛容になったと言われている)で、それでも市場で売れるのは米国の政治力と安全保障上の後ろ盾を得られるからだ。

韓国防衛産業の強み、互換性、生産力、現地生産、交渉力、政府の後押し

出典:U.S. Air Force photo by Staff Sgt. Beaux Hebert

つまり米国と同じ条件で海外市場に挑戦しても競争力が劣るため、米国以外の国が海外市場で競争力を確保するためには「取引全体で何かしらの違い」を提示する必要があり、米防衛産業の伝統的な競合相手である欧州の防衛産業が技術移転や現地生産に応じるようになったのはそのためで、市場の新規プレイヤーなら尚更提示する違いが重要になってくる。

ある欧州の防衛産業企業の関係者はロイターに対して「この1年で韓国は初の国産ロケットを打ち上げ、国産戦闘機を初飛行させ、何十億ドルもの輸出契約を獲得した。これは他国にとって10年分の成果に相当し、我々は長いあいだ韓国の実力を過小評価してきた」と述べており、非米国として市場で競合する韓国の躍進に警戒感を示しているが、非常に面白いところは韓国企業と対立していくのか、共存していくのかは欧州企業によって異なる点だろう。

韓国防衛産業の強み、互換性、生産力、現地生産、交渉力、政府の後押し

出典:Forsvaret

多くの陸上装備で競合関係にあるドイツのKMWは韓国の欧州進出に否定的で、同社のCEOを務めるラルフ・ケッツェル氏は「ポーランドが採用したK2を他の欧州諸国も採用すれば再び陸上装備の多様化が始まり、欧州の防衛産業は追い詰められ、F-35が欧州で優位性を獲得しているのと同じ状況に陥るだけだ」と警告、欧州はバラバラに動くのではなく統一したアプローチの下でレオパルト2からMGCS(独仏が進めている主力戦車)に移行するべきだと訴えている。

つまりレオパルト2で構築されたエコシステムを破壊するのは欧州産業界のためにならないので「MGCSを欧州の標準戦車に押し上げるべきだ」という意味だが、独仏はMGCSの技術とワークシェアを他の欧州諸国に開放する気は今のところない。

韓国防衛産業の強み、互換性、生産力、現地生産、交渉力、政府の後押し

出典:한국항공우주산업

一方で欧州の防衛産業を代表するエアバスD&Sは韓国企業との共存を模索し始めており、同社でCEOを務めるショールホーン氏は韓国にアジアで5番目(中国、インド、マレーシア、シンガポール)となる研究開発拠点を設立し、韓国企業からの航空部品の輸入量を年間7,000億ウォンから1兆ウォン以上=1,000億円以上に引き上げ、FA-50など韓国製航空機の欧州輸出を共同で行うことを正式に提案。

これに韓国側も「同社の航空機プログラムに韓国企業を初期段階から関与させ、単なるサプライヤーではなくプログラムの重要なパートナーとして扱ってほしい」と要請、その代わりに規制緩和策や税制面での優遇策を用意して「世界一の投資環境を作る」とエアバスD&S側に約束しており、欧州に進出してきた韓国企業と敵対するのか取り込むのか対応が別れている。

韓国防衛産業の強み、互換性、生産力、現地生産、交渉力、政府の後押し

出典:Kementerian Pertahanan Malaysia

因みに韓国防衛産業の躍進に注目するメディアはロイターだけではなく、オーストラリアのディフェンスメディアも「マレーシアで開催されたLIMA2023で最も満足する成果(FA-50Mの18機調達に関連する契約締結と2次調達をマレーシア政府が承認したというニュース)を収めたのは韓国企業で、高度に自動化されたFA-50の生産ラインはスピードと規模の両面で航空機製造企業の模範だ。無名だったKAIを始めとする韓国企業が10年で国際的な競争力をもつようになったのは本当に驚くべきことだ」と報じている。

欧米以外の防衛産業企業で特に海外から関心を集めているのはトルコ航空宇宙産業、Baykar、EDGE、エンブラエル、ヒンドスタン航空機、韓国航空宇宙産業、現代ロテム、ハンファ辺りで、個人的には「無人機分野で受注を増やしているEDGE」と「ボツワナへのテジャスMK.1A輸出が噂されているヒンドスタン航空機」に注目しているが、この新規プレーヤー群に日本の防衛産業企業が登場する日は来るのだろうか?

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※アイキャッチ画像の出典:16 Dywizja Zmechanizowana

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