大学中退、父親の勧めで農業　容疑者が「恨みを爆発」させるまで

中野署から移送される青木政憲容疑者=2023年5月26日午後7時5分、長野県中野市、伊藤進之介撮影

　長野県中野市の男女4人殺害事件で、警察官1人に対する殺人容疑で逮捕された青木政憲容疑者（31）が事件当日、死亡した女性2人から「『（ひとり）ぼっち』と言われたように聞こえ、恨みを爆発させた」と供述していることが、捜査関係者への取材でわかった。県警は青木容疑者の一方的な思い込みとみて、慎重に供述の裏付けを進めている。

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　捜査関係者によると、青木容疑者の両親の県警に対する説明では、青木容疑者は大学を中退。その後、落ち込みがちな様子だったことを心配した父親から勧められて農業をはじめた。

　しかし、落ち込んだ状態は続いたという。事件の前から、日頃、1人で農作業をしていることを散歩中の村上幸枝さん（66）と竹内靖子さん（70）から「ぼっち」と馬鹿にされていると思い込んでいたという。

　青木容疑者は県警の調べに対して、事件当日の5月25日夕も散歩中の2人から「ぼっち」と言われたと思い込み、「恨みを爆発させた」と供述。自宅の前や周辺で2人をナイフで襲い、竹内さんに少なくとも十数カ所の傷を負わせ、逃げようとした村上さんの背中や胸を刺したとみられている。県警は2人を襲ったナイフは同一とみている。

　青木容疑者の母親は県警の聴取に対し、「ぼっち」と言われたとする青木容疑者の主張について「思い込みだと思う」と話したという。（鶴信吾、高億翔）